藤子・F・不二雄マンガで七夕飾りを見る

 今晩(7月7日夜)は七夕です。

 自分の家で七夕飾りをこしらえたり短冊に願い事を書いたりすることがめっきりなくなっている私ですが、藤子・F・不二雄先生のマンガで七夕飾りを眺めて七夕気分を味わいました。

 

 

・『パーマン』「あめのたなばた」(めばえ1967年7月号)

・『ウメ星デンカ』「たなばた」(よいこ1969年7月号)

・『ジャングル黒べえ』「ふしぎなたなばた」(よいこ1973年7月号)

・『キテレツ大百科』「さらば大百科」(こどもの光1977年7月号)

・『ドラえもん』「ねがい七夕ロケット」(小学二年生1986年7月号)

 

 

 これらの七夕エピソードのなかで七夕飾りが描かれているので、それを眺めて七夕の楽しさをおすそ分けしてもらったのです。

 このなかで『ウメ星デンカ』と『ジャングル黒べえ』のエピソードはかなり似た内容です。家庭で七夕飾りをつくろうとしたら肝心の竹がない……。デンカ・黒べえは何を思ったか短冊や飾り用小物をぜんぶ庭の地中に埋めてしまいました。すると、うれしいことに地面から七夕飾りが生えてきたのです!

 デンカ・黒べえの不思議な力のおかげです。

 この2つのエピソードは“地面からまずむくむくとタケノコが生えてきて、それがみるみる成長して竹になり七夕飾りとして完成する”というところまで共通しています。

 地面から七夕飾りが生えてくる!って七夕にふさわしい夢のあるお話だなあと思います。

 

 

 そして、藤子Fマンガ史上、短冊に書かれた願い事で最も面白くてとにかくサイコーなのは、なんと言っても「りこうになりたい」です♪ 『ドラえもん』の「あべこべ惑星」(てんコミ17巻などに収録)でのび太が書いた願い事です。

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  (この写真は、2015年7月に藤子・F・不二雄ミュージアムで撮ったものです)

 

 いつもみんなにバカだバカだと言われるから利口になれるよう星に願いをかけたい……そんなのび太のいじらしい思いが「りこうになりたい」という歴史的ケッサク短冊を生み出したのです。

 のび太は、そのケッサク短冊1枚だけを釣り竿につるして2階の窓から外へぶら下げました。竹がなかったのでそういう方法で星に願いをかけたのです。

 なんたる独創性でしょう!

 七夕飾りをつくりたかったけれど竹がないから代わりに短冊1枚を釣り竿につるすなんて、その突飛な発想力と果敢な実行力にのび太の才気(あるいは狂気)を感じざるをえません(笑)

 彼はとっくに「りこう」ではないか……とすら思えてきます♪

 

 

 

ドラえもん 肩ズンFig.

 6月からガチャ「ドラえもん 肩ズンFig.」が発売中です。

 

 公式サイトでこう説明されています。

 https://www.takaratomy-arts.co.jp/items/item.html?n=Y894558

「相手の肩にズンと頭をもたれる仕草である”肩ズン”をテーマにした、タカラトミーアーツオリジナルの新フィギュアシリーズ「肩ズンFig.」にドラえもんの仲間たちが登場! 揃えば揃うほど、楽しさ&かわいさがアップします。サイズは4.5〜4.8cm。」

 

 ラインナップは

 「ドラえもん

 「ドラミ」

 「のび太

 「しずか」

 の全4種です。

 

 きょう買い物に行ったスーパーのカプセルトイコーナーでこれの自販機を初めて見かけ、まわしてみました。

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 結果、全4種のうちこの3人が出てくれました!

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 スヤスヤした寝顔と、隣にもたれかかった姿勢がとてもかわいい。

 心から、起こさないようそっとしておきたくなる寝姿です。

 

 

 というわけで、全4種のうちのび太くんだけが出なかったのですが、じつは、のび太くん以外はすべて2体ずつ出た…というのが本日の最終結果なのです。

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 なかなか特徴的な揃い方となりました(笑)

「SPA!」に藤子不二雄Ⓐ先生のインタビュー掲載

 藤子不二雄Ⓐ先生のインタビュー目当てで「SPA!」7/6号を買ってきました。

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 9月15日発売のBlu-rayトキワ荘の青春 デジタルリマスター版』の映像特典のために行われたインタビューの一部が「SPA!」に掲載された模様です。

 Ⓐ先生は『トキワ荘の青春』をあらためて観た感想やトキワ荘時代の思い出を語られています。

 

 映画の感想ではこんなコメントがとくに印象的でした。

 ●「初見時よりもさらに感動して泣けました」

 ●「最初、本木さんがテラさんを演じると聞いた時にとても意外だったんですけど、すごく合っていました。本木さんのストイックな雰囲気が、テラさん以上にテラさんを表していて」

 

 インタビュアーの稲田豊史さんによると、Blu-rayの映像特典のために行われたインタビューであるもののⒶ先生のお話の内容が非常に濃かったため、内容のかぶりがほぼ無いかたちで3つの媒体に掲載されることになり、今回の「SPA!」はその第一弾とのこと。残りの2媒体は今後発表されるようです。

 

 『トキワ荘の青春 デジタルリマスター版』の特典映像は、藤子不二雄Ⓐ先生撮りおろしインタビュー(20分)をはじめ、メイキング(42分)や1996年舞台挨拶(3分)なども収録されているようで、購買意欲をそそられまくります😄

「萩の月」を食べて「ツキの月」を思う

 「萩の月」を久しぶりに食べました。

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 いつ食べてもほんとうにうまいのですが、「ツキの月」を思いながら食べるとさらにおいしく感じられてきます(笑)

 

 「ツキの月」は、『大長編ドラえもん のび太とアニマル惑星』に出てくるひみつ道具です。「ゴツゴーシュンギク」なる薬草を原料にしており、これを飲めば3時間限定で信じられないほど運がツキまくります。

 

 「萩の月」を食べるとき「ツキの月」を思うのは、「味の素」を見て「味のもとのもと」を思い、 「浅田飴」に対して「おそだアメ」を思うのと同じ思考回路です。

  食品の商品名を元ネタにしたひみつ道具つながり、というわけです。

 

 

 

『ドラえもん のび太の地球を救え! 』

 キッズ・ポケット・ブックス『ドラえもん のび太の地球を救え! 』を古書店で購入しました。1995年に発行された本です。

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 国の「環境基本計画」が作られた背景や理由、それがめざしている内容などを、子ども向けに『ドラえもん』のマンガで解説した本です。

 マンガを執筆したのは、三谷幸広先生。藤子スタジオに在籍経験のある漫画家さんです。マンガ監修者として藤子・F・不二雄先生のお名前もクレジットされています。

 

 このマンガを読んでみると、物語内の時系列が『大長編ドラえもん のび太の創世日記』の後日譚になっていました。『のび太の創世日記』の作中でのび太らが過ごした夏休みが終わったあとの出来事として描かれているのです。

 夏休みに(すなわち『のび太の創世日記』の作中で)のび太らが創世セットを使って行なった自由研究の内容を、夏休み明けの教室で先生が紹介するところから話が始まります。そののび太の自由研究を機に現在の環境問題についてもう少し勉強しよう、と先生が言い出し、この地球を救うために私たちに何ができるのかというテーマで宿題を出しました。

 ドラえもんは宿題に協力するため、夏休みに使った創世セットを再び出します。

創世セットでつくった地球は機械文明に入ったところでストップしていました。その続きの歴史を、のび太しずちゃんジャイアンスネ夫の4人が神様になることで進めてみよう、とドラえもんは提案したのです。

 4人がそれぞれ別の国の神様になりました。

 スネ夫が「文明をどんどん進歩させて、便利なものをたくさん作って…お金持ちの国をつくるぞ」と言うと、

 ジャイアン「物を作らないでも大金持ちになれる世界をつくろう」 

 しずちゃん「緑がいっぱいでのんびりした世界がいいわ」

 のび太「動物がいっぱいで、ターザンみたいな生活がしたいな」

 と、それぞれが望む国のありかたを表明し、いよいよ神様活動を始めるのでした。

 

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  そんな具合に、『のび太の地球を救え!』のマンガは、『のび太の創世日記』の後日譚的なストーリーなのです。『のび太の地球を救え!』は1995年8月10日初版発行、『のび太の創世日記』の初出は「月刊コロコロコミック」1994年9月号~1995年3月号ですから、作品が発表された時期や前後関係を見ても実に後日譚的なタイミングです。

ドラえもん』のキャラクターを使って藤子F先生ではない方が環境問題テーマのマンガやイラストを描くような企画は1990年代くらいから数々あったと思うのですが、今回買った本はその点が藤子ファン的にちょっと興味深いなと感じました。 

朝日新聞のコラムに『キテレツ大百科』の話題が

 本日(6/26)付「朝日新聞 朝刊」の天声人語に『キテレツ大百科』の回古鏡の話が出てくると聞き、コンビニで買って読んでみました。 

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 ここが本日の天声人語のうち回古鏡の話が出てくる箇所です。

 簡単に言えば、回古鏡を使って過去や未来の日本の風景を一目見てみたい、という話です。

 

 こういう一般紙のコラムが「過去や未来の風景を見たい」という夢をかなえてくれる架空の道具を例に出す場合、通常は『ドラえもん』のタイムマシンとかタイムテレビあたりに言及するものでしょうけど、今回は回古鏡を挙げているところに執筆者のこだわりを感じます。

 

 ただし、回古鏡の説明で「シャッターを押せば過去でも未来でも写し出せる」とあるのがちょっと気になりました。

 回古鏡って過去を写すカメラであって、未来は写せないのではないか…と思ったのです。少なくとも原作マンガでは過去しか写せなかったはずです。

 しかし、今回のコラムはアニメの『キテレツ大百科』のことを言っています。

 そういえばアニメのキテレツは回古鏡を何度か改造してたなあ…とおぼろげに思い出しました。改造した回古鏡として、新回古鏡、回古鏡ビデオカメラ、回古鏡改といった道具が出てきました。それにしたって、その改造後の回古鏡もみんな過去を写す道具だったような気がします…。

 少し調べてみると、アニメのキテレツは過去だけじゃなく未来を写せるよう回古鏡を改造しているのですね。そういうエピソードもあったのです。回古鏡を改造して「未来鏡」という道具を作ったわけですが、しかし結果的に過去しか写せなかったようです。

 

 というわけで、回古鏡って過去しか写せないのでは…という素朴な疑問は残り続けるのでした。(べつにコラム執筆者を責めているわけではありませんよ。私だって、そうした細かい設定を覚えていないことが多く、そのへんはまあ大らかにいきましょう、と考えるタイプですから。ただ単に、今回はたまたまそういう素朴な疑問を抱いた…というだけの話です・笑)

UFOの日にカップ焼そばU.F.O.へ思いを馳せる

 きのう(6月24日)は「UFOの日」でした。

 

「藤子作品とUFO」という視点でネタを探せばいろいろなものが見つかりますが、きのうに関しては「藤子・F・不二雄先生とカップ焼そばU.F.O.」に注目してみました。

 藤子F先生は、UFOのトリック写真撮影を趣味にしておられました。円盤を放り投げる、円盤を糸につりさげる、円盤の写真をガラスに貼る、といったふうにさまざまな手法でトリック写真を撮っていました。

 そのさい円盤の模型としてカップ焼そばU.F.O.の容器を使われることもあったのです。

 藤子F先生がやっていたUFOトリック写真撮影のエピソードは、たとえば、むぎわらしんたろう先生が『Fのひとこま「パパの時間」』(「ぼく、ドラえもん」第14号、2004年9月20日発行)で紹介しています。

 

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 ・日清のカップ焼そばU.F.O.

 

  藤子F先生は、カップ焼そばU.F.O.をご自身の描くマンガのなかに登場させることもありました。

 先生のカップ焼そば愛がこよなく伝わってくるのが、『エスパー魔美』の「未確認飛行物体!?」という話です。カップ焼そばの容器にピンポン玉をくっつけてUFOの模型をつくり、それを糸でつるして撮影する、というUFOトリック写真のネタが出てきます。そして、その方法で撮ったトリック写真のUFO部分だけを切り抜いてガラスに貼りつけ空をバックに撮影する手法(グラスワーク)が、高畑さんの口から詳しく説明されています。

 この話では、カップ焼そばU.F.O.がトリック写真に使われる材料としてだけでなく、本来の役割である食品としてもしっかり登場しており、しかもそれがじつにおいしそうなのが素晴らしいです。カップ焼そばU.F.O.をおいしそうに食べるのは魔美ちゃん。空腹状態が続いてようやく食べられたのですから、そのおいしさは格別だったことでしょう。このシーンを見ると、魔美ちゃんのマネをして、できあがった焼そばをカップ容器から別の皿に移してモリモリガツガツと食べたくなってきます(笑)

 のちに描かれた「エスパーもさらわれる?」で、魔美ちゃんはインスタントラーメンをつくってコンポコに食べさせようとしますが拒否されたので自分で食べます。

 自分でつくったインスタントラーメンを食べた魔美ちゃんの感想は……

「インスタントをこんなにまずくつくるなんて、だれにもできることじゃないわ」

 誰がつくっても同じような味になるはずのインスタントラーメンをとんでもなくまずくつくってしまう稀有な才能の持ち主である魔美ちゃんも、カップ焼そばはおいしくつくれるようですね(笑)

 

 

 カップ焼そばU.F.O.が出てくる藤子Fマンガでほかに印象的なのが、『チンプイ』の「見つかった 宇宙人の秘密基地!?」(藤子・F・不二雄大全集2巻などに収録)です。

 この話のラスト一コマが、カップ焼そばU.F.O.だらけなのです。もう少し詳しく言うと、ジャーンという効果音とともに、カップ焼そばU.F.O.の容器が空を飛んでいる写真が何枚も描かれているのです。

 春日エリちゃんの家には、ワンダユウさんがマール星から宇宙船に乗ってよくやってきます。その宇宙船を目撃して写真に撮った少年が春日家の周辺をさぐっていたのですが、マール星との関係を知られたくないエリちゃんはどうにかバレないようにします。少年は、自分が撮った写真をUFOの証拠写真としてテレビ局に見せることに。

 証拠を隠滅せねば、とチンプイがやったのが科法「画像交換」でした。おかげで、空飛ぶ宇宙船がはっきり写っていた何枚もの写真のすべてが、空飛ぶカップ焼そばU.F.O.の写真に差し替えられました(笑)その写真がラスト一コマにジャーンと描かれているわけです。

 

 カップ焼そばは出てこないもののUFOトリック写真のエピソードを描いているという意味では、『ドラえもん』の「ニセ宇宙人」(てんとう虫コミックス10巻)や「ハロー宇宙人」(てんとう虫コミックス13巻)も思い出されます。