5月11日から『ドラえもん』のOP主題歌が新しくなる

 aki-radioさんがコメント欄で知らせてくださったとおり、アニメ『ドラえもん』のオープニング主題歌が5月11日放送分から新しいものに変わることになった。
 4月13日付の「スポーツニッポン」はこのように報じている。

人気アニメ「ドラえもん」のオープニング曲が5月11日から新たに「夢をかなえてドラえもん」にリニューアルされる。歌うのは、この曲がメジャーデビューとなる新人のmao。これまでCM曲やゲーム主題歌のほか、玉置成実久住小春中川翔子らのCDにコーラスで参加。ほのぼのとした優しい声を持ち「小さい頃から大好きなアニメなので、信じられない」と大喜びしている。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2007/04/13/08.html

 現行のOP主題歌『ハグしちゃお』(歌:夏川りみ)は、2005年10月28日放送分からオンエアされはじめたので、1年半の寿命だったことになる。私は、『ドラえもん』のOP主題歌は安易にチェンジせず、1度決まったからにはできるかぎり永続的に同じ曲を使ってほしいと考える立場なので、1年半でのOP主題歌変更はあまりに早すぎると感じる。ただ救いなのは、新主題歌『夢をかなえてドラえもん』が露骨なタイアップ曲ではなく、ちゃんと『ドラえもん』の主題歌らしい主題歌になっていそうな点である。タイトルに「ドラえもん」の語が用いられているのが好印象だ。まだ聴いていないので、これ以上は何とも言えないが、結論的には「1年半での主題歌変更は不服だが、新しい楽曲自体は割と好ましいものになりそう」といったところだ。


 
 そして、アニメ『ドラえもん』のレギュラーメンバーの服装や持ち物がイメチェンするとの報もあった。

★なんと、のび太たちがイメチェン!? 今どきファッションに!★
オープニングに登場する、のび太たちのファッションが、ちょっぴり今風に変化!!
ミーハーでファッションデザイナーを夢見るスネ夫は、特にオシャレなスタイルに…!?
また、しずかちゃんは、こだわりを感じさせる女の子らしいファッションに!
そして、のび太はカラフルなTシャツ姿、ジャイアンは長めの短パンをはいたり…と、キャラクターの性格にあわせて、新たなイメージのファッションになっているよ!


この新ファッションはオープニングだけでなく、これからアニメ本編でも取り入れられていきます!
これまで登場しなかったひもぐつをはくようになったり、スネ夫が携帯電話を使っていたりなど、現代の生活を反映した変更も織りこまれていく予定!!
ちょっぴりオシャレになった、のび太たちに注目してネ!!


テレビ朝日ドラえもんホームページ」
http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/

 そこで思い出すのが、3月に発売された「映画ドラえ本」での楠葉宏三総監督のこんな発言である。

ドラえもんはずっと同じです。変わらないと思いますよ。ますますおもしろくなって、グレードアップしていきますが、テーマそのものは不変です。けれど、進化する部分もあっていいんじゃないかな。今の子どもたちの感覚にフィットするのであれば、たとえばジャイアンのび太にハーフパンツをはかせたり、スネ夫出木杉にパソコンを持たせたりね。いきなりそうはしませんがそうしてもいいんじゃないかという意識だけは持っていますね

「いきなりそうはしませんが」ということだったが、結局は、いきなりそうした、ことになる(笑)
 いくら原作マンガが古典の領域に入りつつある『ドラえもん』といえど、現在進行形のアニメとして制作されている以上は、現代の感覚に合わせてアレンジされていく部分もあってよいとは思う。そう思うには思うのだが、今回のようにのび太らのファッションが今風におしゃれっぽく変えられてしまうと、藤子F先生の描く類型的でシンプルな服装から遠ざかってしまうように見え、違和感をおぼえざるをえない。
 服装の変更くらいで『ドラえもん』のテーマや本質がどうこうなるものではないという考えもあるだろうが、実はマンガ・アニメの画風と主題とストーリーは密接に関連しているので、こうした表面上の変化がテーマや本質を歪めていくことだって充分にありうるのだ。私はそれを恐れる。
 2005年4月にアニメ『ドラえもん』はリニューアルを敢行したわけだが、長年声を務めてきた大山のぶ代さんらをまとめて降板させたりアニメスタッフを大きく入れ替えたりなど非情とも思える変革を私が肯定的に受けとめたのは、ひとえに「藤子F先生の原作へ回帰しよう」という志が感じとれたからである。その志に共感をおぼえて、リニューアルドラを応援しようと決めたのだった。そのとき私が最も恐れたのが、「リニューアル後の視聴率がふるわず、原作回帰のポリシーが揺らぎ、妙なテコ入れを繰り返して作品が迷走しはじめてしまう」ことだった。昨年あたりからのアニメドラの状況を見ていると、2005年4月時点での悪い予感が当たってきてしまっているような気がする。



 表面的な服装・小道具・背景などを現代の感覚に合わせていく配慮も必要といえば必要かもしれないが、もっとずっと大事なのは、藤子F先生の描いた『ドラえもん』の物語構造やアイデアの料理法や根底に流れるスピリットを深く理解し、それをアニメ作品に着実に反映させていくことだと思う。それが視聴率アップにつながるかどうかは分からないが、一藤子ファンとして真摯にそう願う。