小学館とブッキングの連携プレイ

 小学館のコンビニ廉価版のマンガ単行本シリーズ「My First BIG」で、『忍者ハットリくん NIN×NIN SELECTION』*1が刊行された。言うまでもなく、映画『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』公開に合わせて出版されたものである。


 このMy First BIG『忍者ハットリくん NIN×NIN SELECTION』に、ブッキングが現在刊行中の「藤子不二雄Aランド」の広告が載っている。
 それと歩調を合わせるように、最近発売された藤子不二雄Aランド『新忍者ハットリくん』7巻・8巻には、My First BIG『忍者ハットリくん NIN×NIN SELECTION』の広告が掲載されている。そしてそこには、「すべて藤子不二雄Aランドには未収録の作品です」との宣伝文句も記されている。


 本来なら、小学館とブッキングは『忍者ハットリくん』の単行本を同時期に出した出版社どうしということで競争関係にあるはずだが、今回は収録作品がかぶらないよう配慮しつつ、互いの単行本に広告を載せ合って、仲の良い連携プレイを見せている。小学館と、ブッキングの親会社といえる日販*2が、両社とも「NIN×NIN忍者ハットリくん THE MOVIE 製作委員会」に名を連ねているので、その場で手を結んだのだろうか*3。それに、小学館はブッキングに出資した出版社29社のうちの1社でもあり、その点でも、両社は敵対関係になりにくいのであろう。


 My First BIG『忍者ハットリくん NIN×NIN SELECTION』全2巻は、藤子不二雄Aランドに未収録の作品を、現在品切れ状態のてんとう虫コミックス『忍者ハットリくん』全16巻(小学館)の収録作品から選び出してまとめた単行本であるが、てんとう虫コミックス収録作品の中には、My First BIGにも藤子不二雄Aランドにも未収録の作品がまだ存在している。
 とくに、てんとう虫コミックス13巻には、映画原作の『忍者ハットリくんパーマン』が2編*4収録されており、この2編は、藤子不二雄先生のコンビ解消によって著作権的に難しい立場に置かれたため*5、新しく発行される単行本に収録される見込みの低い作品となっている。

*1:8月20日発売分と9月3日発売分の全2巻

*2:ブッキングは、日販51%、出版社29社49%の共同出資で設立

*3:「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE 製作委員会」の日販のメンバーには、ブッキングの社員の方も含まれているようだ

*4:●『超能力ウォーズ』:「コロコロコミック」昭和58年12月号〜昭和59年3月号初出、映画は昭和59年公開 ●『忍者怪獣ジッポウVSミラクル卵』:「コロコロコミック」昭和59年12月号〜昭和60年3月号初出、映画は昭和60年公開

*5:『忍者ハットリくん』は藤子不二雄A作品、『パーマン』は藤子・F・不二雄作品