藤子不二雄D?


 先日、『さいとう・たかをのゴルフ13(サーティーン)』(さいとう・たかを著/リイド社)という本を古書の状態で入手した。パッと見には『ゴルゴ13』の単行本と見間違いそうな装丁であるが、これは「ゴルゴ13」ではなく「ゴルフ13」であるし、コミックスではなく活字の本である。2002年8月3日初版第1刷発行とあるから、さほど昔の本ではない。『ゴルゴ13』の作者、さいとう・たかをさんが、独自のゴルフ論やゴルフにまつわる体験談などを披露している。
 私がこの本を買ったのは、さいとうさんのゴルフ仲間である藤子不二雄A先生がエッセイを寄稿しているからである。
 藤子A先生のエッセイのタイトルは「ハードボイルドゴルファーさいとう・たかを賛歌」。その文中で最も面白いと感じたのは、藤子A先生が酔っ払ったあげく「さいとう氏にグロス*1で負けたら、ペンネームを藤子不二雄Aから藤子不二雄Bにする」と約束してしまうくだりだ。
 もともとは藤子A先生のほうがゴルフがうまかったのだが、さいとうさんがめきめきと腕をあげてきて、この約束をしたあと、先生はさいとうさんにグロスでたてつづけに負けるようになってしまったそうである。その後もほとんど勝てなくなった藤子A先生は、「約束を実行していたらぼくは今頃、藤子不二雄Bどころか、藤子不二雄Dぐらいになっているだろう」と書いている。
 もし藤子A先生が本当に藤子不二雄Dになってしまって、その後もさらに負けが重なれば、そのうちペンネームが藤子不二雄Fになり、藤子・F・不二雄先生がコンビ解消後少しのあいだ使用していたペンネ―ムとまったく同じになってしまうところだったのだ(笑)
 しかし幸いなことに、さいとうさんはペンネームの変更を求めてこず、藤子不二雄A先生は今でも藤子不二雄A先生のままでいられる、というわけである。これは藤子ファンとして、さいとうさんに感謝すべきか!?

*1:所定のラウンドで実際に打った数が「グロス」 そのグロスからハンディキャップを引いた数が「ネット」