「マンガ道、波瀾万丈」

 最近発売された「マンガ道、波瀾万丈 みんなが泣いた、笑った 名作はこうして誕生した」(桐山秀樹著/徳間書店/2005年3月31日第1刷発行)の第二章に「藤子不二雄A」の項があったので購入した。本書は、ノンフィクション作家の桐山秀樹さんが「週刊アサヒ芸能」に連載していた同名の記事を単行本化したもので、15名の大物マンガ家を取材している。
 藤子不二雄A先生の回は「週刊アサヒ芸能」2004年7月15日号と7月22日号の2回にわけて掲載され、私はこの2冊を発売当時に買っている。


 この「マンガ道、波瀾万丈…」という本で、細野不二彦さんのこんな発言が紹介されていた。
「漫画家になりたくて、石ノ森章太郎さんのマンガ入門を買ってきて、独学しました。好きだったのは、藤子不二雄の『オバケのQ太郎』であの丸い線を何度も練習したものです」


 また、先日このブログで言及した「QuickJapan」Vol.59では、『GANTZ』を描いている奥浩哉さんが、「僕は、最初は読者に身近なところから入って〝ありえないじゃん〟というところへ誘導する作品が好きなんですよ。SFでも『ドラえもん』とかね」と言っている。


 それから、現在発売中の「ぱふ」5月号(雑草者)では、『豪放ライラック』などの作者である桑田乃梨子さんが次のような発言をしている。
「これはまだ年に1本の投稿をしていた頃の話なんですが、会社の帰り道にいつも立ち寄る本屋さんで『FFランド』の『まんが道』を読んだら、主人公たちが知り合った怪しい会社の社長が警察に捕まって連れていかれるシーンで、その社長さんが連れていかれながら〝あんたたちはあんたらの好きなものを描いたらいいから〟って言うんです。〝本当に好きなものを描きなさいよ〟って。それがもうガガーンと来て…。家に帰って一気にネームを仕上げたことがあって、なんだかそれがずっと残っているんです」


 こうのように、現在活躍中のマンガ家さんが藤子マンガの影響について語っているのを見つけると、私はちょっと嬉しくなって、その記事の載った本を思わず買ってしまったりする。マンガ家に限らず、いろいろなクリエーターや芸能人や評論家などが藤子マンガについて好意的に語ってくれていると、心の中にパッと灯りがともったように晴れやかな気分になるのだ。
 私は、こうした〝有名人が藤子マンガについて語った言葉〟を収集している人間でもある。


●雑誌記事情報

「月刊現代」5月号(講談社)260〜266ページに、『ドラえもん卒業 大山のぶ代へ「贈る言葉」』というエッセイが掲載されている。作家の本橋信宏さんが書いたもので、大山のぶ代さんの半生が綴られている。


毎号講読している「TVぴあ」4月13日号(ぴあ株式会社)を見たら、「ぼくNEWドラえもん!」というカラーの特集記事が載っていた(130〜131ページ)。総監督・楠葉宏三さんのインタビューを読めるのがいい。