「もっと!ドラえもん」5号発売

「もっと!ドラえもん」5号が発売された。「ぼく、ドラえもん」(全25号)から続いてきたドラえもん専門誌の刊行も、今号でおしまいだ。てんとう虫コミックスドラえもん プラス」もとりあえず完結したし、本日からの映画『のび太の恐竜2006』公開をもって、「ドラえもんどんどんプロジェクト」と銘打たれたさまざまな展開も一息つくことになるのだろうか。そう思うと寂しくなるが、4月以降もアニメ『ドラえもん』は毎週放送されるし、今後もいろいろな出版物や催しが企画されるだろうから、そういうものを〝現在進行形のドラえもん現象〟として楽しんでいきたい。


「もっと!ドラえもん」5号で知りえた情報でとくに注目なのは、藤子プロ・伊藤善章氏の発言だ。来年2007年も映画ドラえもんは公開されるという。昨年1回休んだことを契機に今後も1年おきの公開になるのでは、と少しだけ案じていたが、ちゃんと毎年やってくれるようだ。そこで気にとまったのが「将来的には、オリジナル・ストーリーによる『ドラえもん』映画も作りたいと思いますが、先生の作品がすばらしすぎて……(笑)」というくだりだ。この発言から、来年以降もオリジナル・ストーリーは作らず、藤子・F先生が描いた原作を映画化していくというニュアンスが読みとれる。しばらくは、藤子・F先生がご存命だった頃の作品をリメイクしていくということか。もしそうだとしたら賛否両論が激しくなりそうな気配だが、私個人は、そういう方向性に同調的である。『のび太の恐竜2006』を最後まで席を立たず見通すと、来年の映画の告知となるオマケ映像に出会えるということだ。
 新聞でも報じられたが、今秋、富山県高岡市の「おとぎの森公園」にドラえもんのキャラ6体の等身大像が設置されるとの情報もあった。いつか訪れてみたいスポットになりそうだ。


 てんとう虫コミックススペシャル「ドラえもんカラー作品集」6巻が9月3日に発売されるというのも大きな情報だ。「もっと!ドラえもん」全5号に掲載された作品を含め全20作が単行本化されるという。発売はまだ先の話だが、「カラー作品集」が続刊してくれると分かっただけでも喜ばしい。
エスパー魔美』DVD‐BOXは、上・下巻ともに予価58000円(税抜)とのこと。


 映画『のび太の恐竜2006』に関する情報も多く掲載されていた。私は「はみだし名場面ベスト5」にそそられた。野次馬のなかに魔美と高畑さんが紛れ込んだ場面があるというのだ。エンディングの「おわり」のロゴをF先生の初期作品『ユリシーズ』から採っているというのもマニア心をくすぐられる。


 切通理作氏の『「スネ夫的探究心」が人類を進歩させた!?』という文章も興味深かった。私は、ここ一ヶ月ほどの「わさドラ」レビューで、藤子・F先生が恐竜好きだったことをはじめ、F先生の模型好きや箱庭趣味、恐竜生存説に対する見解などについて言及してきたが、切通氏は、そういったF先生の個人的な趣味・関心が『ドラえもん』においてディテール豊かに描かれるのはスネ夫を通してであることが多いと指摘し、のび太だけでなくスネ夫も紛れもなくF先生の分身だったと述べている。
 まさにその通りだと思う。F先生が個人的に好んでいたホビーは、『ドラえもん』の作中において、スネ夫の言動や所有物を通して現実的な細部をもったかたちで描かれ、ドラえもんひみつ道具によって空想的意匠を伴ったかたちで表現されたのである。