『愛…しりそめし頃に…』第8集発売

 本日、ビッグコミックススペシャル『愛…しりそめし頃に…』第8集が発売になった。「ビッグコミックオリジナル増刊号」2005年3月12日号から2006年7月12日号にかけて発表された9話分を収録している。雑誌発表時に一部で話題になった、シルバークロスが机に向かって漫画のアイデアを練る珍場面を、本書で見ることができる。



『愛…しりそめし頃に…』の単行本が発売されるたび大いに楽しみなのが、巻末の特別付録である。
『愛…しりそめし頃に…』の単行本は、第1集からずっと巻末に特別付録を載せていて、発売日が近づくと今度はどんな付録になるのだろうとワクワクするし、実際にページを開くとその資料生の高さに感嘆する。ところが、第8集の付録に関しては、前の第7集の付録『恐怖探偵局』「ミミズク人間」前編の続きとして、同作の後編が掲載されることが事前に分かっていたし、そもそもこの『恐怖探偵局』「ミミズク人間」は、藤子不二雄ランド(および藤子不二雄Aランド)『魔太郎がくる!!』第14巻に収録されている作品なので、今回は特別付録に対するワクワク感が半減してしまった。
 藤子不二雄Aランド『魔太郎がくる!!』第14巻は、昨年に発売されたばかりの現行商品であり、そんな現行の単行本で読める「ミミズク人間」を、わざわざ『愛…しりそめし頃に…』の巻末付録として復刻する意義は、さほど高くないと思うのだ。もちろん「ミミズク人間」を読んだことのない人にとってはありがたい復刻だと思うが、個人的には、『愛…しりそめし頃に…』第6集までの巻末付録と比べ、どうしてもありがたみが薄くなるのだった。
 ただし、『愛…しりそめし頃に…』第8集は、藤子不二雄ランド(およびAランド)『魔太郎がくる!!』第14巻収録時にカットされた1ページを漏らさず載せていて、その点は評価したいところだ。その1ページとは、「ミミズク人間」後編の導入部で、内容的には前編のあらましを読者に伝える部分である。初出誌では前編から後編が発表されるまでに1ヶ月のあいだが開いたため、後編の冒頭で前編の内容に触れて、読者の1ヶ月前の記憶を呼び起こす手助けをしたのだ。



 巻末付録への期待があまりに大きいため、ちょっと不満を書いてしまったが、第8集が発売されたこと自体は喜ばしいと思うし、初出誌で2ヶ月ごとに読んできたエピソードを単行本でまとめて読めることには醍醐味を感じる。
 そんなところで今日は、『愛…しりそめし頃に…』単行本発売記念として、第1集発売当時の宣伝ポスターを2点紹介したい。第1集の発売時だから、1997年ごろ書店で貼られていたものである。2点とも縦長サイズだ。
 写真右側のポスターは、不動産屋の店先に貼ってあるアパート物件のチラシっぽくデザインされていて、シンプルな見栄えながらアイデアが活きているなあ、と思わせる。筆文字のタッチで「トキワ荘」とか「愛…しりそめし頃に…」とか記されているのが味わい深い。