サイン入り『愛…しりそめし頃に…』単行本

    

 先月30日、『愛…しりそめし頃に…』の単行本第8集が発売された。同作を雑誌連載で追いかけている私だが、あらためて単行本でまとめ読みすると、雑誌で2ヶ月に1話ずつ読むのとは違う味わいがあって楽しい。単行本では作品世界の只中に長いあいだのめり込めるので、昭和30年代・トキワ荘の時代の空気を全身に浴びているような感覚にひたりやすい。各話の終わりに必ず挿入される詩の余韻を胸に残しつつ次の話へと読み進めていけるのも、単行本ならではの妙味がある。



『愛…しりそめし頃に…』の単行本といえば、過去に思い出深いエピソードがあった。第5集が発売されたときのことだ。
 2003年4月23日、ニッポン放送のデジタルコンテンツラジオ番組「くり万太郎のブロードバンド!ニッポン」に藤子不二雄A先生がゲストで生出演した。同番組のHPでA先生への質問を受け付けていたので、私は番組がはじまる頃合にメールで質問を送信。その質問が番組内で採用されたのである。
 それだけでもドキドキの体験だったが、その質問が読まれたことで当時発売されたばかりの単行本『愛…しりそめし頃に…』第5集が当選。2日後の4月25日にさっそくニッポン放送から当選品が届き、本を開いてみると、カバー見返しのところにA先生のサインがばっちり書いてあった。私は大いに歓喜した。



 その前の週には、懸賞で当選した岡崎二郎さんの直筆サイン色紙が届いたばかりだったので、二重の喜びとなった。
 岡崎二郎さんのサイン色紙には、帽子をかぶったタコみたいな岡崎さんの自画像?が黒のサインペンで描かれていた。この色紙が当たった懸賞は、『アフター0(ゼロ)著者再編集版』刊行を記念したもので、第1巻から8巻までのオビについた応募券をハガキに貼って送り、抽選で当選者が決まるシステムだった。
 色紙が届いたとき「月刊まんがの森」vol.57(2002年10月号)も同封されていた。同号に岡崎さんのロングインタビューが載っているのだ。それによると、岡崎さんが子どものころ好きだった漫画家は、赤塚不二夫先生と藤子不二雄先生だったとのこと。「当時は「サンデー」とか「マガジン」は読んでなくて、学年誌と言えば藤子先生でした。SFがどうこうというよりは、まんがとしておもしろかった」と述べている。絵柄の点で大きく影響を受けたのは手塚治虫先生ということだ。

     

●単行本情報 
ぴっかぴかコミックス『怪物くん デーモンの剣』(藤子不二雄A著/400円)が、12月27日に発売予定