「おそるべき正義ロープ」「ミニ熱気球」放送

 11月17日(金)のアニメ『ドラえもん』は、「おそるべき正義ロープ」「ミニ熱気球」を放送。



●「おそるべき正義ロープ」

原作初出:「小学二年生」昭和55年5月号
単行本:てんとう虫コミックス第23巻など
アニメサブタイトル:「スクープ!しずかちゃんは悪い子? おそるべき正義ロープ」

 正義ロープは、その名のとおり正義の存在だが、些細な悪まで絶対に許さないため、誰も彼もが片っ端に懲罰を加えられてしまう。硬直した恣意的な正義の行使に対する恐怖・違和が感じられる本作であるが、それを大人の世界を舞台にシリアスに鋭く描くと『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』になるだろう。


 アニメでは、正義ロープの増殖と暴走が、原作より膨らまされて描かれた。気味の悪いワームが大量発生してうごめくパニック映画の雰囲気がちょっとだけ感じられた。
 しずかちゃんの「誰でも何かしら悪いことをしているのよ」というセリフなどあって、普通に生活している善良な人でも何らかの悪い面をもっており、その悪を許容しなかったら社会生活は立ち行かない、というような人間社会の真実を感じつつ、その辺のくだりにブラックユーモアの味わいをおぼえた。しかし出木杉だけは正義ロープにまったく罰せられておらず、彼だけが特別にできすぎた人間であることを改めて痛感。


 正義ロープに巻きつかれたまま道を歩くしずかちゃんを、通行人が好奇の目で見る場面では、しずかちゃんを気の毒に感じた。だが、もっと気の毒なのは先生だろう。おしっこが漏れそうな状況でトイレへ行こうと廊下を走ったため、正義ロープに巻きつかれて足止めをくらい、(先生の表情から察するに)そのまま廊下でやっちゃったのだから。



●「ミニ熱気球」

原作初出:「小学五年生」「小学六年生」平成元年5月号同時掲載
単行本:てんとう虫コミックス第40巻など
アニメサブタイトル:「鳥だ!飛行機だ!ドラミちゃんだ! ミニ熱気球」

 ミニ熱気球は、ごく少量のエネルギーで膨らみ浮上し飛行するのだが、その燃料源として線香を焚くところがユーモラスで好きだ。


 ドラミちゃん型熱気球が膨らんださい、原作ではのび太が「かわいいなあ」と言うのだが、アニメではドラミちゃん自らが「かわいい」と言って、ナルシスティックな一面を見せた。
 アニメでは、ミニ熱気球が落ちたごみバケツにゴキブリが出現。縮小したドラミちゃんにとっては、相対的に巨大になったゴキブリの出現は、最大級の恐怖だろう。このとき、ドラえもんが両手をこすり合わせて火を起こすという無茶な展開があった。ドラえもんの新たな能力か、火事場の馬鹿力のようなものだろうか(笑)