忍法「鳥よせ」?

koikesan2007-01-16

 先日、名古屋市港区の庄内川河口で、越冬中の野鳥たちにエサをやってきた。私は毎冬、一度はこの地を訪れ、同じようなことをして遊んでいる。
 野鳥は通常、人間には近づいてこないが、庄内川河口の某所でエサをまくと、ユリカモメやオナガガモなど一部の人馴れした野鳥がエサを求めて群で寄ってくるのだ。
 とくにユリカモメは、空中を飛びながら近づいてきてギャーギャー騒ぎ立てるので、たいへん賑々しい状況になる。食パンを細かくちぎって放り投げると、ユリカモメは飛んだまま空中でキャッチする。食パンを大きめにちぎって指先でつまんだまま上方へ掲げると、勇気ある(飢えのひどい?)ユリカモメが私の手のぎりぎりまで接近してパンを奪いとっていく。ちょっとした芸を見ているようで、思わず「お見事!」と歓声をあげたくなる。
『忍者ハットリくん』の「ライフル魔かくごせい」(藤子不二雄Aランド第2巻などに収録)でハットリくんが忍法「鳥よせ」を使うと、弟のシンちゃんが持っていたおにぎりにおびただしい数の鳥たちが群がってくるシーンがある。普通の野鳥だけでなく、ラドンやすもうとり、ちりとりまでやってくるのはご愛嬌だw あそこまで賑やかではないものの、あれに似た状況を私も体験したのだった。

 この写真の人物は私ではなく、近くで同じようにエサをやっていた人を撮ったものだが、私もこれと同じように、まるでユリカモメに襲われているような状況に陥ったのだ。まさに忍法「鳥よせ」か、ヒッチコックの『鳥』の世界を安全にしたような光景が展開されたのである。



 庄内川河口近辺にはラムサール条約に登録された藤前干潟が広がっており、ガン・カモやシギ・チドリ、カモメ類など水鳥の宝庫となっている。ラムサール条約は、正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」という。



 野鳥にやるエサが尽きたあとは、同じ地区内にある「ラムサール条約湿地藤前干潟 稲永ビジターセンター」を見学。藤前干潟に関する情報を発信するため環境省が作った施設だ。新しめの施設で、今回初めて入った。中でうろうろしていると職員の人が出てきて、藤前干潟やそこに生息する野鳥、施設の展示物などについて説明してくれた。私は昔バードウォッチングが趣味だったので、日本の野鳥については人並み以上に詳しいつもりだが、ここでまた新たな知識を得られた。
ラムサール条約湿地藤前干潟 稲永ビジターセンター」の隣には、「名古屋市野鳥観察館」という施設も建っている。ここには、これまで何度も入っている。建物のなかには、フィールド用の望遠鏡がたくさん備えつけてあり、干潟の野鳥を観察することができる。ざっと望遠鏡で干潟を眺めてみたところ、以下のような野鳥が見つかった。

●ガン・カモの仲間
マガモ
ヒドリガモ
オナガガモ
キンクロハジロ
ホシハジロ
スズガモ


●シギ・チドリの仲間
ハマシギ
ダイゼン


●カモメの仲間
ユリカモメ
カモメ
セグロカモメ
オオセグロカモメ


●そのほか
カワウ
アオサギ
カンムリカイツブリ
ミサゴ
チュウヒ

 じっくり観察すればほかにもいろいろ見つかっただろうが、ほんの短いあいだでも、このくらいの野鳥が観察できるのだ。
 ミサゴというのはタカの仲間(猛禽類)で、主に魚を捕まえて食べる。今回もミサゴが両脚で魚(ボラ?)を捕捉するシーンを観察できた。チュウヒもタカの一種である。猛禽類の鋭く勇壮な姿は見ていてうっとりとする。