「熱血!!コロコロ伝説」Vol.2

 書店に並びだしてもう10日以上がすぎてしまったが、現在発売中の「熱血!!コロコロ伝説」Vol.2について少し触れておきたい。


 同号に掲載の藤子マンガは以下のとおりだ。

●『新オバケのQ太郎
 「コップヌードル」(初出:「小学一年生」1973年2月号/単行本:FF5
 「ふとんゲーム」(初出:「小学三年生」1973年2月号/単行本未収録)
 「兄としてがんばらなくっちゃ」(初出:「小学六年生」1972年2月号/単行本:FF4)


●『ドラえもん
 「キングコングだぞ」(初出:「小学一年生」1976年11月号/単行本:FF13など)
 「パパもあまえんぼ」(初出:「小学六年生」1977年9月号/単行本:TC16・FF21など)


●『パーマン
 「はじめましてパー子です」(初出:「週刊少年サンデー」1967年7号/単行本:TC1・FF1・コロコロ文庫1など)
 「水爆とお月さま」(初出:「小学館コミックス」1967年9月号/単行本:TC4・FF3・コロコロ文庫3など)


●『ドラQパーマン(初出:「月刊コロコロコミック」1979年8月号/単行本未収録)
 (ネームを藤子F先生、作画をしのだひでお先生が担当)


●『ミラ・クル・1』
 「化け猫伝説」(初出:「月刊コロコロコミック」1979年8月号/単行本:FF1)


 (単行本:TC…「てんとう虫コミックス」 FF…「藤子不二雄ランド」)

 やはり、Vol.1に続いて『新オバケのQ太郎』が読めるのが大きな魅力である。今回再録された3話は、どれもてんとう虫コミックス未収録であり、その点でこだわりのあるセレクトだと思う。てんとう虫コミックスが現行商品として発売中であってこそ、“てんとう虫コミックス未収録”という事実がより引き立つのに… と思わないでもないが、それでもてんコミ未収録作品をわざわざセレクトしてくれたことは素直に評価したい。
 

『新オバケのQ太郎』の1編「ふとんゲーム」で、Qちゃんと正ちゃんがふとんを棒状に丸めて叩き合うゲームを発明し、友達を呼んでトーナメント戦をはじめる。この「ふとんゲーム」と名付けられた遊びは、『ドラえもん』の「四次元たてましブロック」でも描かれている。ドラえもんのび太が遊んでいるのだが、その作中では「ふとんゲーム」ではなく「マット・フェンシング」と呼ばれている。
 この遊びは、現実に藤子・F・不二雄先生が娘さんとやっていたもので、長女の匡美さんは「部屋中ものすごいほこりになって、母に叱られて、父と二人でぞうきんがけをさせられました」*1と思い出を語っている。
 この遊びはもともと藤子F先生と藤子A先生が少年時代にやっていたことでもあり、藤子A先生も同じ遊びを自作のなかで描いている。『ウルトラB』の一編「ウルトラB ドータと対決!」のなかで、UBとドータがこの遊びをやっているのだ。『ウルトラB』では「フトンたたき」と呼ばれている。
「マット・フェンシング」というとけっこう本格的なスポーツ競技のように聞こえるが、「フトンたたき」というと素朴で原始的な遊びのように感じられる。そして、「ふとんゲーム」となるとその中間的な感じで、素朴な遊びにちょっとした競技性が加味されたような印象だ。


 
『ミラ・クル・1』は、かつて「藤子不二雄ランド」で単行本化されたが、現在は手に入りにくいので、1話とはいえ陽の目を見たのはまことに望ましいことだ。平凡な少年少女(+動物)が不思議な力(不思議な道具)を手に入れて活躍するという藤子F先生のヒーローものの系譜にある作品で、全部で5話が発表された。「コロコロコミック」月刊化記念で連載がスタートした作品なのに隔月連載だったのが、当時の藤子F先生の忙しさを物語っているようだ。


『ドラQパーマン』は、これまで一度も単行本に収録されたことがないので、初めて読む人がかなり多いんじゃないかと思う。すでにブログなどで指摘されている人がいるが、ドラえもんオバQパーマンが焚き火を囲んで歌を歌う場面で、パーマンが歌う曲目だけが初出版と今回の版で違っている。3人は、自分らが主人公をつとめるアニメソングをそれぞれに歌うのだが、初出当時はシンエイ動画版『パーマン』(1983年〜)が放送開始される前だったため、パーマンが歌ったのはモノクロ『パーマン』(1967年〜)の主題歌『ぼくらのパーマン』であった。それが今回の「熱血!!コロコロ伝説」では、シンエイ動画版『パーマン』の主題歌『きてよパーマン』の歌詞に差し替えられているのだ。ドラえもんオバQについては初出版と同様、それぞれ『ドラえもんのうた』と『オバQ音頭』を歌っている。


 たかや健二さんが描き下ろした『コロコロ熱筆突撃隊』は、二人の藤子先生や藤子スタジオが出てきて、藤子ファン的にもかなり嬉しいし、この作品から発散される異様な熱気が凄すぎる。熱い、熱すぎるよ、たかやさん…


 Vol.2は、私がコロコロを最も熱心に純粋にむさぼり読んでいた時代のものなので、どの作品もたいへん懐かしい。『金メダルマン』のくだらなさを久しぶりに堪能できて感無量。当時、単行本を買ったのだが今は手元に残ってないので、別冊付録になってくれてありがたい。




●『チンプイ』DVD-BOX公式サイトが更新されたとの情報を指摘マンさんからいただいた。ありがとうございます!

チンプイ』メモリアルDVD-BOX
・2007年12月7日発売(発売日より1年間の限定生産)
TVアニメーション全56回(112話)+劇場版『チンプイ エリさま活動大写真』を収録
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 詳しくはこちらで。
 http://bb.fwinc.co.jp/chinpui/release/index.htm

 封入特典のサントラCDは気のきいた企画ではないか。
 予約特典のラーメンどんぶりというのは、チンプイというキャラにちなんでいるといえばちなんでいるし、ユニークといえばユニークである。

*1:「ドラえ本3」(小学館/2000年1月1日発行)