関西旅行記(その1)「みんなのドラえもん展」

 25日(土)26日(日)と関西へ行ってきた。Nさんが主催する「藤子マニア関西懇親会」に参加するためだ。
 懇親会の参加者数は、行程の一部のみに参加した人も含めて13人。大半は以前から親しい人たちばかりだが、リアルな場で初対面となる人も3人いて、新鮮で刺激的な顔ぶれが揃った。大阪、京都、兵庫、奈良と関西在住の人がメイン。ただし、主催のNさんは神奈川から、私も含め3人は愛知からの参加となった。
 毎度、キャラが濃くクセの強い面々が集まり、奇妙で奇怪なワンダーランドと化しやすい藤子マニア関西懇親会だが、今回もこれまでの懇親会に負けぬほどディープな会合となった。


 藤子系ブログの仲間では、「はなバルーンblog」(http://blog.goo.ne.jp/hballoon/)のおおはたさん、「Ashiko K Milk」(http://ashiko.exblog.jp/)のhaschikenさん、「地球にマンガがある限り!」(http://d.hatena.ne.jp/Fujiko/)のFujikoさんが参加された。彼らは総じて知性的であり確かなバランス感覚をお持ちなので、アクが強く時には毒々しい関西懇親会のなかにあって良心的で紳士的な領域を担ってくださった。


 
 懇親会ではまずはじめに、京都駅ビル内の美術館「えき」KYOTOで26日まで開催中だった「みんなのドラえもん展 −魅力のひみつ−」を観覧。集合場所も同美術館だった。
 私は、青春18きっぷを使って快速電車を乗り継ぎ京都駅まで赴いた。自宅から3時間弱の道のりだった。京都駅到着後、昼食をとりつつ、京都の暑さに負けて昼間から缶ビールと缶チューハイを飲んだ。


 美術館「えき」KYOTOを訪れるのは、2004年4月の「まんが道 藤子不二雄A展」以来。
「みんなのドラえもん展」は、川崎、東京、新潟と巡って京都へやってきた展覧会で、私は初の鑑賞となる。同展は、2011年神奈川県川崎市に開館予定の「藤子・F・不二雄ミュージアム(仮称)」のプレイベントという位置づけでスタートしている。
 展示物は、藤子F先生が執筆した『ドラえもん』の生原画が中心だった。


 あまり規模が大きくなく、どちらかというと平凡な企画内容の展覧会だったが、やはりF先生の生原画を見られるのは純粋に嬉しいしとても興奮する。どんな展覧会であっても、生原画があるというだけで満足なのだ。(損傷が激しいなどの理由で、レプリカで展示されている原稿もあった)
 印刷された画面では味わえない、藤子F先生のナマの筆致を見られる喜びは格別だ。陶然として、感動して、心が安らいでくる。
 描線のかすかな厚みとつややかな光沢、色原稿の美しさ、ベタ部分の微妙なムラ、色鉛筆による指定、ホワイトによる修正跡、描き足しのための切り貼りなど、生原稿ならではの見どころを堪能した。『ドラえもん』を執筆中のF先生の体温や息吹が伝わってくるようだ。

 
 原画のなかで圧巻だったのは、「ドラえもんだらけ」全ページ(15枚)だ。1300話を超える『ドラえもん』のなかでも屈指の傑作である「ドラえもんだらけ」。その全ページを原画で読めるのは幸福な時間だった。荒れ狂ったドラえもんの表情や絶妙なコマ運びなどをじっくりと観察した。
 展示された原画はほとんどてんとう虫コミックス収録作品ばかりだったが、そのなかにあって目についた未収録作品が、「小学館BOOK」に連載された『ドラミちゃん』第1話「じゅん番いれかわりき」である。(原画1枚の展示) 先日、ぴっかぴかコミックス『ドラミちゃん』に収録されるかと期待して収録されなかったお話なのでよけいに気になった。
 てんとう虫コミックスのカバーイラストの原画(9巻と24巻だったかな?)も展示されていた。1枚の原稿用紙に、表紙、背表紙、裏表紙用のイラストがまとめて描かれていて、原画ではこういう配置で描かれていたんだなあと感心。


 原画のほかに目立った展示物は、ドラえもんをテーマにした現代アート。風景写真やシャツやカスタムカーなどが展示されていた。これらの現代アートは、2002年大阪を皮切りに全国巡回した「THEドラえもん展」のために制作され展示されたもので、「THEドラえもん展」を大阪と名古屋で観ている私としては、正直なくてもよい展示だった。一般のお客さんにとっては、原画の展示ばかりがずっと続くより、こうしたアートがあったほうが変化があってよいのかもしれないが…
 市販のドラえもんグッズがいくつか展示されていたが、近年に発売されたものが多く、あまり珍しいものは見当たらなかった。
 グッズ売場では、特製の絵はがき、ノート、ステッカー、キーホルダーなどを購入。



 美術館「えき」KYOTOを出たあと京都駅ビルの大階段のすみっこに腰をおろし、皆で順番に自己紹介をした。そのとき初参加のSさんがドラ焼きなどのお菓子を差し入れしてくださった。藤子ファンの集まりでドラえもんの大好物であるドラ焼きを差し入れしてくださるなんて気がきいている。
 大階段でいい歳をした男ばかりが自己紹介している光景は、傍から見たらちょっと異様だったかもしれない(笑)


 
(その2)に続く。