チャミー・おろち・プルートウなどの立体化商品を購入

 3月から公開された映画ドラえもん新・のび太の宇宙開拓史』で描かれたチャミーは、旧映画より原作に近い黒眼になって、個人的には好感度アップでした。劇場で売っていたチャミーグッズも、思わず買っちゃいました^^


 大きいのが「チャミーぬいぐるみ」(1300円)、小さいのが「チャミーぬいぐるみマスコット」(550円)です。大きいほうはイチゴのマスコット付きで、チャミーの口でそのイチゴをくわえられるようになっています。映画でも原作でもチャミーがイチゴを食べるシーンはなかったはずですが、なぜかイチゴがセットになっているのです。イチゴのかわいいイメージが、チャミーのピンク色の丸っこい外見と結びついたのでしょうか。
 チャミーは、ウサギをモデルにした、体がもこもこ・ふかふかしたキャラクターなので、ぬいぐるみはその感触を表現するのに向いた媒体だと思います。



 藤子作品ではありませんが、最近はこんなキャラクターの立体物も購入しました。

 楳図かずお先生の傑作『おろち』の狂言回し的な主人公・おろちです。アート・ストームから2008年10月ごろ発売。右手が2種類付属していて、おろちがよくやる指差しポーズもできます。

・楳図パーフェクション!『おろち』全4巻

 私は楳図先生の作品では『漂流教室』と『わたしは真悟』が特に好きで愛読しているのですが、この『おろち』もそれに匹敵するくらい大好きです。(ほかにも好きな作品だらけですが) 『おろち』は、楳図先生が“文学に拮抗する作品”“芸術的レベルの作品”にしたいとの意気込みで描いたマンガで、そこで扱われるテーマや描写される心理は重厚で深いです。楳図先生はそれまで、外的な恐怖(外から襲ってくる恐怖)、即物的な恐怖(目に見える恐怖)、動物系の恐怖(蛇、蜘蛛、化け猫、狐憑きなど)を中心に“恐怖マンガ”を描いてきたのですが、この『おろち』あたりから、心理的な恐怖(人間の心の闇から露呈してくる恐怖、人間存在の恐怖)に眼目を置くようになります。『おろち』では、人間の妄執や嫉妬や愛憎や狂気や悔恨や復讐心が“恐怖”と結合するかたちで描かれていきます。
週刊少年サンデー」での1年ちょっとの連載のなかで9つのエピソードが発表され、その多くがどんでん返し的な驚愕のラストを迎えます。楳図先生は「僕は完璧にストーリー主義です」「結末は僕にとって神様です」と発言していて、そうした楳図先生のストーリー主義的才能が高いレベルで具現しているのが『おろち』だと思うのです。文学とか芸術とかを意識しながら、けっして読者を置き去りにすることなく、むしろあの手この手を駆使して読者を楽しませてくれています。
 楳図先生の繊細で丁寧で可憐な描画で表現されたおろちは、この世のものとは思えぬ絶世の美少女です(マンガのキャラクターなので、もともとこの世のものではありませんが^^)。その美しさを思うと、このフィギュアの造形にはどうしても物足りなさや違和感をおぼえるのですが、おろちがこの大きさ、この造形レベルでフィギュアになることは当分ないだろうと考え、購入しておきました。おろちは、楳図美少女のなかでもその美麗さ・端正さにおいて最高峰だと感じられるキャラクターで、それがフィギュア化されればぜひ欲しいと思っていました。もう少し顔が楳図先生のタッチをうまくとらえたものだったら最高だったのですが、楳図美少女の立体化はそれほど困難な仕事なのだということで勝手に納得しております^^
『おろち』は、「週刊少年サンデー」1969年25号から1970年35号にかけて連載されました。作品タイトルと同一名の主人公が狂言回し的な立場にあって、たまたま遭遇した不穏な出来事を観察し、時にはその出来事に絡んでいくという点で、藤子A先生がほぼ同時期に「週刊少年キング」で連載した『黒ベエ』と印象が重なる部分があります。『おろち』は出来事をリアルかつシリアスに描き、『黒ベエ』はブラックユーモアとして描いているという対照性があります。連載数回で一話が完結するというスタイルも、『おろち』と『黒ベエ』の共通性といえましょう。




 こちらは手塚治虫先生の『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」に登場したプルートウです。「地上最大のロボット」におけるメインキャラクターですね。ご存じのとおり、浦沢直樹さんが「地上最大のロボット」をリメイクしたさい、そのリメイク作のタイトルはこのロボットの名前を使って『PLUTO』とされました。
 プルートウは、世界で最も強いとされる7人のロボットを倒し“ロボットの世界王”になるために作られた戦闘ロボット。強いロボットたちを一人また一人と倒していき、もう少しでロボットの世界王になれるところでしたが、アトムとのかかわりの中で戦うこと以外の価値に目覚めていきます。罪もないロボットたちを破壊する凶悪かつ無慈悲な存在として登場したプルートウは、物語が進むにつれてヒューマンな性格を帯びていくのです。
 ロボット同士の戦いを中心に据えて描かれたこの物語は、最後には人間の身勝手さを読者につきつけて幕を閉じます。結局プルートウは彼を作った人間の欲望に翻弄された悲劇的なロボットだったのだ、と感じられてきます。
「地上最大のロボット」は「少年」1964年6月号から65年1月号にかけて連載されました。この時代の「少年」には藤子不二雄A先生も連載を持っていて、「地上最大のロボット」と連載時期が重なる藤子A作品は、『シスコン王子』(1964年10月号まで)と『忍者ハットリくん』(1964年11月号から)です。



 手塚先生関連でもうひとつ。

 1989年に開催された「横浜博覧会」のマスコットキャラクター「ブルアちゃん」。
 ブルー・アース(青い地球)を短縮したネーミングです。ブルアちゃんをデザインした手塚先生は、1989年3月25日の横浜博開幕を前にして亡くなられました。(2月9日逝去)