藤子・F・不二雄大全集に『海の王子』登場!

さようなら 本日(12月25日)、藤子・F・不二雄大全集第6回配本の3冊が発売されました。
ドラえもん』第4巻、『パーマン』第4巻に加え、『海の王子』第1巻が登場。

海の王子』は、「週刊少年サンデー」創刊号(1959年)から連載された海洋冒険活劇マンガで、「藤子不二雄初のヒット作」と紹介されることが多いです。劇作家・高垣葵氏が原案を担当し、F先生とA先生による本格的な合作マンガになっています。作画の分担を大まかにいえば、海の王子をはじめ味方側をF先生、敵側のキャラクターをA先生が描いています。白の藤子と黒の藤子が画面上でせめぎあいつつ調和した作品です。
 藤子先生ご自身もこの作品に強い思い入れをお持ちだったようで、1984年から刊行された藤子マンガ全集「藤子不二雄ランド」(中央公論社、全301巻)の第1弾として発売されたのが『海の王子』でした。雑誌連載された藤子マンガで最初に単行本化されたのも『海の王子』でした(1960年〜61年、集英社)。
 といった具合に、藤子マンガ史的に非常に重要な初期作品である『海の王子』がいよいよF全集に登場したのです。F全集『海の王子』は全3巻の予定。



ドラえもん』第4巻は、1964年度生まれ編です。1964年度生まれは、映画化もされた感動の名編「さようなら、ドラえもん」「帰ってきたドラえもん」をリアルタイムで読んだ世代になります。ドラえもんのび太の別れと再会を描いたこの名編を、リアルタイム世代が味わったのと同じ流れで読める幸福感をかみしめたいです。
「さようなら、ドラえもん」はこれほど感動的かつ有名な作品でありながら、てんとう虫コミックスなどこれまでの単行本に収録されていたのはトレス版だったので、その点が非常に残念でした。それが今回は雑誌からの複写版になっていて、より原稿の描線に近づいたかたちで収録されてよかったなと思います。(トレス版とは、「原稿が紛失した」「カラー原稿をモノクロで単行本に収録する」などの理由で、アシスタントがF先生の画の上にトレーシングペーパーなどを置いてなぞった作品のことです。てんとう虫コミックス藤子不二雄ランドなどを読んで、これは下手な絵だな、と感じられる作品は、たいていトレス版です。「さようなら、ドラえもん」の場合、てんとう虫コミックス収録のさいF先生が描き足したコマがいくつかあって、それらのコマはてんコミでもトレスではありません)



パーマン』第4巻
 旧『パーマン』の「小学四年生」「五年生」「六年生」で連載された作品を収録。



 第6回配本の3冊には「ドラえもん40周年おめでとう!」という月報の号外が挟み込まれています。1969年12月に発売された「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」〜「四年生」の1970年1月号で連載がスタートした『ドラえもん』は、今年の12月で40周年を迎えたのです。

 この3冊、年末にたっぷり堪能しようと思います。