毛のはえた楽器

 1月4日に「ジャンプスクエア」2月号が発売されました。藤子A先生の連載コミックエッセイ『PARマンの情熱的な日々』第27回は、A先生が集めている変コレクションがテーマでした。最近新たに入手した品を紹介するというわけではなく、『ぶきみな5週間』や『ブラック商会変奇郎』などの藤子Aマンガでモチーフになった、ファンにはお馴染みの品をあらためて紹介するという趣向でした。『PARマンの情熱的な日々』目当てではなく「ジャンプスクエア」を購読している読者には新鮮な話だったかもしれません。


 今回紹介された変コレクションのなかに、A先生がアフリカで入手した、猿の皮と毛で作られた有棹弦楽器があります。これは、ぶきみな5週間・第1週『毛のはえた楽器』(「週刊少年キング」1970年9月20日号掲載)のモチーフになった物です。『毛のはえた楽器』の作中では“毛のはえたギター”と呼ばれています。私は、この楽器の形から日本の三味線を思い出しました。三味線やギターでいえば胴(ボディ)にあたる部分の周囲から毛がふさふさと生えているところが“毛のはえた楽器”たる所以です。


 藤子ファンの友人で、なんと、“毛のはえた楽器”のミニチュアを作った人がいます。ありがたいことに、その友人からそのミニチュアを譲ってもらえたので、ここで写真をアップしてみます。(このミニチュアは、現実に存在する“毛のはえた楽器”ではなく、ぶきみな5週間『毛のはえた楽器』のラストのコマで描かれた“毛のはえた楽器”のビジュアルをモデルに作られています。私が譲ってもらったのは、2〜3年前のこと)


ジャンプスクエア」と比べてみると大きさがわかると思います。


 個人の趣味で作られたミニチュアですが、驚くほど精巧にできていて、細かいところまでうっとりと見入ってしまいます。弦の一本一本や周囲の毛並みまで細やかに再現されていて素晴らしい。
 藤子ファンだからこそのツボを押さえたセンスと、ミニチュアを造形する高い技術力が合わさった傑作。弦のあたりなど壊れやすそうなので大事に大事に保管しつつ、時たま手にとって陶然としたいと思います。