「藤子・F・不二雄大全集」第2期・第3回配本

 25日発売の藤子・F・不二雄大全集第2期第3回配本は、『ドラえもん』第10巻と『オバケのQ太郎』第7巻の2冊。
 この2作品は、国民的ヒットを記録し社会現象を巻き起こした、藤子・Fマンガのなかでもメジャー中のメジャー作品で(『オバケのQ太郎』はA先生との共作)、話数が多く、したがって合計ページ数も多いため、全集第1期から刊行が続いています。『ドラえもん』は第3期以降も刊行が続き(全20巻)、『オバケのQ太郎』については、1971年から連載された『新オバケのQ太郎』が第3期以降に刊行される予定です。


 
ドラえもん』第10巻は、1970年度生まれの小学生が6年間に読んだ72話分が学年繰り上がり方式で初出順に収録されています。
 単行本初収録の「からだねん土でスマートになろう!」では、マッチョ体型になった異様なのび太の姿を拝めます。長袖のシャツを着ているはずののび太が、なぜかムキムキポーズを披露する瞬間だけタンクトップに(笑) 鼻を高くしたいと頼んできたしずちゃんへのセクハラ発言もインパクト大。肉体派いじめっ子のジャイアンが、最後に、殴る蹴るではなく、頭脳的な作戦に出るのも見どころです。



 
オバケのQ太郎』第7巻は、「小学二年生」に連載された作品をまとめた一冊です。
「やさしいドロンパ」は、本当は優しいのだけれど照れ屋で素直になれなくて憎まれ口ばかり叩くドロンパの性格が話のテーマになっています。ラスト、ドロンパって本当はいいやつなんだなあと素直なハッピーエンドで終わると思いきや、最後の一コマでドロンパらしさ全開のオチになるのが実によいです(笑)
「おざしき水族館」は、『ドラえもん』にも同じサブタイトルの話があるので(てんとう虫コミックス23巻などに所収)、読み比べてみると両作が持つそれぞれの特質が浮かび上がって面白いです。『オバケのQ太郎』では、まず手作り感たっぷりのおざしき水族館がつくられ、最後にはQちゃんのひらめきで身近な物を使いながらユニークな水族館ができあがるのに対し、『ドラえもん』では手ばりやおざしきつりぼり、潜水艦などいろいろなひみつ道具を駆使して夢のようなおざしき水族館をこしらえようとします。両作ともクジラが出てくるのが共通してますね^^
 この話のなかに、フナを釣ったパパと、コイを釣った神成さんが、自分の釣果をめぐり子供じみた言い争いをする場面があるのですが、そのときのパパの負けず嫌いな理屈が面白いです。
 今回発売されたF全集『ドラえもん』10巻所収の「水族館ガス」も、室内に水族館をつくろうという話です。ビールを注いだグラスまで水槽のようにされちゃうのが楽しいです。