6月24日(金)、藤子・F・不二雄大全集第2期第11回配本『ドラえもん』14巻と『初期少女・幼年作品』の2冊が発売されました。
挟み込まれていた速報チラシに、第3期の主な収録作品と全巻購読特典が載っていました!
第3期の主な収録作品は、
『ドラえもん』
『大長編ドラえもん』
『新オバケのQ太郎』
『ウメ星デンカ』
『モジャ公』
『T・Pぼん』
『ポコニャン』
『ベラボー』
『SF・異色短編』
『すすめロボケット』
『中年スーパーマン左江内氏』
『未来の想い出』ほか
『ドラえもん』は『ドラミちゃん』や『ドラとバケルともうひとつ』のオリジナル連載バージョンも収録、『モジャ公』は未収録扉を網羅してくれるそうです。
そして、全巻購読特典は「F.art(エフアート)」です!
F全集本体では収録しきれないアナザーワークスを集めた画集のようです。詳細はまだわかりませんが、F先生がこれまでに描いたイラストやカットなどのお仕事がいろいろと集められるのでしょうか。どんな作品が載るんのだろう、と想像するだけでワクワクしてきます。途轍もなく楽しみです。
★『ドラえもん』14巻
1974年度生まれの人が小学生時代にリアルタイムで読んだ話を収録。
同日発売の『初期少女・幼年作品』に『おやゆびひめ』が収録されていますが、この『ドラえもん』14巻にも、「おやゆび姫をおいかけろ」という『おやゆび姫』ネタの話が収録されています。
A先生の『怪物くん』からアイデアを借りた「怪物くんぼうし」も読めます。怪物くんぼうしをかぶったドラえもんが「からだがゴムみたいになるんだ」と言う場面がありますが、このセリフを読むと、『怪物くん』の手足が伸びる設定は『ONE PIECE』へとつながっていくものなんだよなあ、という思いがあらためて深まります(笑)
『スネ夫のおしりがゆくえ不明』は、そのサブタイトルからしてバカバカしくて可笑しいです。お尻が行方不明って(笑) 話の内容も、人間の身体でだるま落としをやるとか、行方不明のお尻を発見する方法がアレだとか、ナンセンスさが炸裂していて面白いです。
★『初期少女・幼年作品』
昭和30年代の初めごろに発表された作品が主に収録されています。『おやゆびひめ』以外はすべて単行本初収録。これまで読むのが困難だった初期作品が、感動的なまでに数多く収録されています。私は多くの作品をすでに読んだことがあったのですが、初めて触れる作品もいくつかありますし、初期の作品がこうしてきれいな印刷でまとめて読める日が訪れたことに強く感銘を受けています。初出でカラーだったページはカラーで再現されているのも胸が躍ります。『ぽちのおつかい』という作品は、存在自体知らなかったです。
若かりし頃のF先生の初々しさと才気と熱意と真摯さが伝わってくる作品たち…。みずみずしく丁寧に引かれた描線…。純粋でかわいらしいキャラクターたち…。各キャラクターたちのやわらかそうなフォルム…。画面をただ眺めているだけで幸福感がみなぎってきます。
F先生初の単独連載作品である『ゆりかちゃん』。ゆりかちゃんのおにいさんは、0点を取ったり無精して長時間お説教を食らったりと、のび太のルーツを見るような気分です(笑) 丸っこい眼鏡をかけているところものび太っぽいです。押入れで寝るところはドラえもん的ですが…。
『泣きだした王さま』『どろぼうと天使』『えり子のしあわせ』といった少女向けの短編は、何度読んでもラストが素敵です。心があたたまったりジーンとしたり…。お話の幕の閉じ方として非常に巧みだとも思います。
『雲の中のミカド』や『バラとゆびわ』は、とりわけ読みごたえがありますね。
『よるの王子さま』や『雲の中のミカド』『バラとゆびわ』『ライオンとこじか』といった作品は、A先生の『まんが道』のなかで読んだことがある方も多いかと思いますが、今回はF先生の描線がしっかり再現された状態で話の最初から最後まで完全に読めるのですから素晴らしいです。
『よるの王子さま』は、今回全話続けて読んで、雑誌休刊による未完が非常にもったいなく感じられる高クオリティ作品だと実感しました。
『初期少女・幼年作品』の収録作品を見渡すと、日本が舞台にせよ海外が舞台にせよ時代劇が多めなのも印象的です。その時代の衣装の美しさやかっこよさに心惹かれます。
特別資料室でコママンガがフォローされているのもよかった。
24日は、My First BIG SPECIAL『魔太郎がくる!!』[こ・の・う・ら・み…]とMy First BIG『ドラえもん』[あきらめないで! なんとかなるさ!!編]も発売されました。
『魔太郎がくる!!』[こ・の・う・ら・み…]を見ると、単行本未収録作品「マムシがマムシにかまれた!!」が特別収録、とありますが、厳密にいえば「マムシがマムシにかまれた!!」は単行本未収録ではなく、旧版の少年チャンピオンコミックスには収録されていました。その次に刊行された『魔太郎がくる!!』の単行本である藤子不二雄ランドからこの話は削除され、その後の中公文庫版やコンビニ本などにも収録されることはありませんでした。それが今回再び日の目を見たのですから、よかったと思います。
7月29日発売予定の次集[復讐]には、「トランプのうらみはトランプでかえす!!」が特別収録されるようです。