藤子・F・不二雄大全集第2期完結!

 25日(月)、藤子・F・不二雄大全集第2期第12回配本の3冊が発売されました。F全集第2期は、これをもって完結となります。
 第2期ももう終わりなんだなあ…と感慨を抱きながら、第2期ラストの3冊を手に取りました。

 
●『オバケのQ太郎』第12巻
「幼稚園」「よいこ」など、主に幼年向け雑誌で発表された話を収録しています。すべて単行本初収録作品で、それをオールカラーで読めます。本編ばかりじゃなく、特別資料室もオールカラー。一コマ一コマが大きめなので、絵本を見ているような楽しい気分になってきます。
 これにて『オバケのQ太郎』は全巻完結。第3期からは『新オバケのQ太郎』の刊行が始まります。


 荒俣宏さんの解説がじつに興味深い。荒俣さんの妹さん(漫画家・志村みどりさん)は、藤子スタジオに在籍しF先生のアシスタントをなさっていた時期があって、その事実は以前から知っていたのですが、今回の解説では、荒俣さんが妹さんから聞いたエピソードがいくつか披露されていて読み応えがありました。
 ドラえもんの造形のモデルになった起き上がり人形は、F先生の娘さんが生まれたお祝いとして、アシスタント数人がF先生に贈ったものだったとのこと。そして、その起き上がり人形をF先生のお宅へ届けたのが荒俣さんの妹さんだったのです。
 また、荒俣さんの妹さんの本名は「静枝」というそうで、妹さんはあるときF先生に、『ドラえもん』のしずちゃんのネーミングは自分の名前から取ったものなのですか?と尋ねたことがある、ということも解説に書かれています。F先生のお答えは……荒俣さんの解説をお読みになってくださいね(笑)
 この解説では触れられていませんが、荒俣さんの妹さんは、『ドラえもん』「ロボ子が愛してる」のロボ子を描いた人物でもあります。ロボ子のタッチが明らかにF先生のものと違っているので、前から気になっていた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。


 
●『少年SF短編』第3巻 
 1巻は「少年サンデー」、2巻は「マンガ少年」で発表された作品を収録し、この3巻は、2巻に収録しきれなかった「マンガ少年」作品に加え、「こどもの光」「スターログ」「小学五年生」「小学四年生」「別冊コロコロコミック」「少女コミック」で発表された作品を収録しています。
 カラー原稿の部分はカラーで再現。『征地球論』『宇宙からのオトシダマ』『アン子 大いに怒る』がカラーページを再現した作品になっています。
 解説は、漫画家のとり・みきさん。


 今巻に収録されたスターログ版『絶滅の島』は、左開きの雑誌で発表されたサイレントマンガでして、コマが映画のフィルムのような体裁になっています。この作品が単行本に初めて収録されたのは、2001年発行の「藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版」第6巻においてだったのですが、そのさい、左開きの雑誌で発表された作品を右開きの単行本に掲載することで生じてしまう不具合を修正せずに収録してしまったため、作品のストーリーを正しく読むのに支障をきたしてしまいました。今回のF全集は、当然ながら、その点を踏まえてきちんと収録しています。
藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版」は、単行本版の『絶滅の島』(スターログ版『絶滅の島』を単行本用に描き改めた作品)の初出年も間違えており、『絶滅の島』という作品に対する扱いがじつにおろそかでした。
 今回のF全集は、お蔵入りしていた、1978年に描かれた『絶滅の島』扉絵を特別資料室に収録してくれてもいて、よい仕事をしています。


 
●『大長編ドラえもん』第3巻
のび太と鉄人兵団』『のび太と竜の騎士』を収録。F先生がご病気のため原作マンガを描けなかった『のび太のパラレル西遊記』は、F先生が描き下ろしたイラストのみ収録。カラー原稿はカラーを再現しています。
 解説は、漫画家のたかや健二さん。



 第3期の第1回配本は、9月22日発売です。
 そのため来月(8月)はF全集の空白月になりますが、F全集別巻の『Fの森の大冒険』が25日ごろに、小学館クリエイティブの復刻本『UTOPIA 最後の世界大戦』が27日ごろに発売されるので、空白月という感覚はありません。


小学館クリエイティブ『UTOPIA 最後の世界大戦』のサイト
 http://www.shogakukan-cr.jp/utopia/
 これを見ると、ワクワク感が高まります。