小池さんのモデル鈴木伸一先生と会った日

 先週末、岐阜県各務原市で「アニメまつり2011inかかみがはら」(主催:NPO法人 K-ITシティー・コンソーシアム)が開催されました。年に一度、この時期に行なわれるイベントです。私はここ数年、このアニメまつりのお手伝いをさせていただいています。数年前あるマンガ関連のイベントに参加したさい、その会場で知り合って親しくなった方が、このイベントの主催者および関係者だったことがご縁です。


 アニメまつりの会場では、全国から募集したアマチュアによるアニメ作品のコンテスト授賞式をはじめ、クレイアニメ作りや、簡単アニメ制作体験、バルーンアート教室、絵画教室、アニソンライブなどが行なわれました。私は「子ども縁日」を担当。輪投げやストラックアウト、バスケッボールビンゴ、くじ引きなどをやって賞品がもらえるというコーナーで、主にお子さん相手の接客の仕事をやりました。台風の影響で風が強いなか、思いのほか大勢のお客さんに来ていただけたようです。このイベントを市民の皆さんがとても楽しみにしていらっしゃったことがわかります。
 アニメ文化の啓蒙の役割も担ったこのイベントが、今後も末永く続いていくことを願っています。会場を訪れた各務原市長も、これは良いことをやっているイベントだ、とおっしゃって、今後も協力してくださることになりそうだということです。
 
 ・アニメまつり会場入り口

 
 ・主催のNPO法人のマスコットキャラクター・マウス君


 私にとってこのイベントのお手伝いをすることの大きな喜びの一つが、アニメコンテストの審査員として、アニメ界の巨匠でトキワ荘の元住人でラーメン大好き小池さんのモデル人物である鈴木伸一先生、漫画家で大垣女子短大講師の篠田英男先生、手塚プロダクション社長の松谷征孝さんが出席されることです。岐阜県までこのお三方が足を運んでくださり、実際にお目にかかることができるというのが、東海地方在住者としてとてもありがたいのです。


 イベント当日は、自分に割りあてられた仕事などがあって、先生方とお話しする機会はあまりありませんでしたが、その前夜の関係者懇親会では、同じ空間で先生方と飲食をともにできてハッピーでした。
 懇親会の席では、私の後ろ側に松谷社長が座っていらっしゃったので乾杯のときはグラスを合わせていただきました。

 
 出席者全員が自己紹介するというのが、この懇親会の恒例行事です。自己紹介のラストを飾ったのは、大御所の鈴木伸一先生。
 鈴木先生は、この懇親会の前日に放送された私出演の「まんが道をゆけ!」を偶然観てくださったそうで、そのお話をわざわざ皆の前でしてくださいました。感激です。番組のラストで、手塚治虫先生が藤子先生に譲った机(トキワ荘を退出する手塚先生が、そのあとに入居する藤子先生のため部屋に置いていった机)が登場するのですが、鈴木先生は「あの机、僕がトキワ荘で観たときは綺麗だったのに、今はボロボロになっていて驚きました(笑)」と語られました。鈴木先生のなかでは、あの机は新しい状態のままのイメージなんですね^^


 懇親会が終わってから、鈴木伸一先生と少しだけお話させていただきました。
 鈴木先生藤子・F・不二雄ミュージアムの関係者内覧会へ行かれ、藤子不二雄A先生や芝山努監督、アニメーターの富永貞義さん、藤子スタジオの歴代チーフアシスタントの方々と一緒にミュージアム内を観覧されたそうです。
 藤子F先生について「彼はおとなしいけれど悪戯好きで愉快な人だった。僕は何度も彼の悪戯に引っかかったよ」と語ってくださり、その言葉が私の胸に響き渡りました。
 鈴木先生が館長をつとめておられる杉並アニメーションミュージアムは建物が古いのにFミュージアムは新しいのでうらやましい(笑)、といったこともおっしゃっていました。


 鈴木先生は、7月30日に発売された学研「大人の科学マガジン別冊」で大人のひみつシリーズ『ゴキブリのひみつ 〜帰ってきたインセクトマン』というマンガを描かれたので、そのことに関するお話もうかがいました。4コママンガのようなちょっとした作品を除けば、こうした本格的なマンガを描いたのは30年ぶりくらいとのこと。ペン先はカブラペンを使用されたのですが、久々に持つペンでも違和感なく描くことができたということです。編集さんからはまた描いてくれと言われている、なんてことも話されていました。実際にまたマンガを描かれるかどうかわかりませんが、鈴木先生が今後描かれるマンガというのも興味をそそられます。あまりご負担にならない範囲でマンガを描いていただければ、と思います^^
 http://otonanokagaku.net/magazine/rhino/book.html

 
 ・鈴木伸一先生と記念写真(アニメまつり会場にて)


 懇親会の2次会では松谷社長からいろいろとお話をうかがいました。
 私が子供時代リアルタイムで観て思い出深い手塚アニメは『ジェッターマルス』なんです、とお伝えしたら、このアニメが放送されるに至る経緯を聞かせてくださいました。
 手塚先生が自作で最も好きだと語っていた作品の一つが『きりひと讃歌』だった、というお話も。私は数ある手塚マンガのなかでもベスト5に入るほど『きりひと讃歌』を面白いと思っているので、「手塚先生ご本人も、この作品を気に入っておられたんだなあ」と感慨深かったです。


 私が10代の頃、手塚治虫先生のサイン会で、このようなサインを書いていただきました。
 
 手塚先生の自画像がタバコを吸っています。それで、松谷社長にこのサインの写真をお見せしながら「手塚先生はよくタバコを吸ってらっしゃったのですか?」と尋ねました。
 松谷社長は、「手塚はタバコをまったく吸わないわけじゃないが、ほとんど吸わなかった。けれど、よくタバコを持ち歩いていて、会った編集者などに「きみ、一本どうかね?」と勧めるのが好きだった。僕もそうやってタバコを渡されたことがあるが、手塚は吸わないタバコを長期間持ち歩いているものだから、そのタバコにはカビがはえていた(笑)」というエピソードを聞かせてくださいました。
 
 ・松谷社長とのツーショット。社長が着てらっしゃるシャツは、『火の鳥』に登場するムーピーをデザインしたもの。もう在庫はないそうです。



 ※情報
 9月15日(木)放送のテレビ朝日アメトーーク」のテーマは、「のび太ほっとけない芸人」です。出演者は、サバンナ高橋よゐこ有野、キャイ〜ン天野、バカリズム麒麟・川島、なだぎ武、二丁拳銃・川谷。   
 http://www.tv-asahi.co.jp/ametalk/