『赤塚不二夫大先生を読む 「本気ふざけ」的解釈 Book1』

 21日(金)ごろに、名和広著『赤塚不二夫大先生を読む 「本気ふざけ」的解釈 Book1』(社会評論社、定価1900円+税)という本が発売されました。
赤塚マンガ全般について縦横に論じた渾身の一冊です。
 

日本のギャグシーンを活性化し、劇的に広げた最初の開拓者・赤塚不二夫。そのほぼ全作品を体系化・網羅的に言語化。斬新かつ驚異の“赤塚マンガ通史読本”
(同書の帯より)

 この本の著者・名和広氏は、拙編著『藤子不二雄Aファンはここにいる Book1 座談会編』の藤子Aファン座談会に参加したメンバーの一人です。この座談会のさいも、濃い知識や鋭角的な見解を披露して活躍してくださいましたが、『赤塚不二夫大先生を読む』では、名和氏のそのエネルギッシュな才気が、彼がこよなく愛する漫画家・赤塚不二夫を論じることで本格的に炸裂しています。


 この本の大きな特徴を3点紹介しましょう。
・『おそ松くん』『ひみつのアッコちゃん』『天才バカボン』『もーれつア太郎』など、多くの人に愛されるメジャー作品から、一般の人はまず知らないだろうというマイナーな作品まで、赤塚マンガおよそ180作品に言及し、主だった作品について独自の切り口から論じている。赤塚マンガ論でありつつ、赤塚先生の評伝でもある。


・巷には、赤塚不二夫先生に関する間違った噂や誤解などが多く流布しているので、そういったものを徹底的に訂正し、正しい情報を世に提供したいという目的を持っている。正しい知識にこだわっている。


・現在のところ最も網羅性の高い赤塚不二夫作品リストが掲載されている。このリストは、著者が10年余りにおよぶ調査のうえ作り上げた労作。これまでに発表されたどの赤塚作品リストよりも精度・完全度が高い、と考えられる。


 そのほかにもいろいろと特徴を挙げられましょうが、この3点が最も大きなポイントだと感じました。
 どのポイントも、赤塚マンガに対する熱烈な愛情と膨大な知識と入念な調査が必要であり、おびただしいエネルギーを要する仕事だったと思います。


 当ブログは、藤子ファンブログなので、この本を藤子ファン的な視点で紹介すれば、なんといっても、藤子不二雄A先生のインタビューが載っているのが最大の注目点です。藤子A先生が、赤塚先生やご自身のギャグマンガ観を語ったインタビューです。
 藤子A先生のインタビューとともに、1960年代に赤塚不二夫藤子不二雄とともに少年マンガ界における「ギャグマンガ三羽烏」と呼ばれた森田拳次先生のインタビューも載っています。
 当時は、赤塚不二夫先生とともに、藤子不二雄先生(『オバケのQ太郎』『忍者ハットリくん』『怪物くん』)と森田拳次先生(『丸出だめ夫』『ロボタン』『珍豪ムチャ兵衛』)が3大人気ギャグ漫画家として君臨していたのです。


 またこの本は、藤子先生の盟友でありライバル的な存在でもあった赤塚先生について論じているわけですから、おのずと本文中でも藤子先生や藤子マンガに言及されています。トキワ荘時代、スタジオ・ゼロ時代、『オバQ』ブームなどの話題を読むことができます。
 非常に読み応えのある、熱量の高い一冊です。


 ・ビーケーワン
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 ●番組情報
 本日(23日)夜7時57分からTBS系で放送の「クイズ・タレント名鑑」スター記憶の限界SPで「大山のぶ代ひみつ道具の名前いくつ覚えてる?」という企画があるようです。(当ブログの読者さんからの情報)
 http://www.tbs.co.jp/talent-meikan/