桐木憲一『東京シャッターガール』1巻

 18日に発売された桐木憲一さんのマンガ『東京シャッターガール』1巻(日本文芸社)を購入しました。
 
 写真部に入部した女子高校生が、カメラを持って東京のいろいろな街を訪ね歩きます。毎回5ページほどの短い話のなかで、その街の魅力が抒情的に描き出されます。
 街に関する客観的な情報も記されていて、街歩きのガイドブックとしても機能しています。


 藤子ファンとしての注目点は、やはり何といっても、第8話「椎名町トキワ荘通り」でしょう。この街の“あの店”へ入った主人公の口から、「ンマーイ!」の声を聞くことができます。


 ほかの話に目を向けると、夏目漱石芥川龍之介萩原朔太郎樋口一葉など文学者ゆかりの街を訪れる話がいくつかあります。文学作品からの引用も随所で見られます。10代後半から20代前半くらいの私は、文学青年というレベルまでは達していないものの、文学が好きな青年でしたから、こういう文学の香りには今も心誘われます。
 あとがきは、手塚るみ子さん。


 著者の桐木憲一さんは、トキワ荘通り協働プロジェクトのスタッフで、現在、「紫雲荘」というアパートの一室で執筆活動を行なっていらっしゃいます。
 紫雲荘は、トキワ荘跡地のすぐそばに建っていて、かつて赤塚不二夫先生がその一室を借りて仕事場にされていたこともあります。
 ●「トキワ荘記念碑・松葉・紫雲荘」http://d.hatena.ne.jp/koikesan/20110831