A先生・小池さん出演「スタジオ・ゼロ物語」レポート

 19日(日)、新宿ロフトプラスワンで石ノ森スピリッツ「スタジオ・ゼロ物語」が開催されました。
 石ノ森スピリッツは、山田ゴロ先生が石ノ森章太郎先生の精神を伝えていこうと、シリーズで行なっているトークイベントで、今回は伝説のアニメ制作会社「スタジオ・ゼロ」がテーマでした。
 通常の石ノ森スピリッツは阿佐ヶ谷ロフトAで行なわれているのですが、今回は新宿ロフトプラスワンに進出です。
 
ロフトプラスワン入口の看板

 
 このホームページの案内のとおり、私も出演者の一人だったのです。
 http://gengaten.info/pc/pages/event120219.html
 藤子不二雄A先生、鈴木伸一先生、石津嵐先生、山田ゴロ先生といった錚々たる先生方と並んで自分の名があるだけでも恐れ入るばかりですし、自分にトークショーの出演者がつとまるのかというプレッシャーも強大でした。
 出演のお声をかけていただいてから当日まで緊張と興奮の日々を過ごしました。


 当日、打ち合わせのため控室に入ると、何日も前から続いていた緊張が最高潮に達するとともに、身がギュッと引き締まる思いにもなりました。
 大物のゲストを迎えるということで、主催の山田ゴロ先生、TOKIYAさんも緊張と興奮を抑えきれないご様子でした。


 藤子不二雄A先生が控室に入られました。
 私は、昨年10月に京都国際マンガミュージアムでA先生とお会いしたので「京都ではお世話になりました」と挨拶をさせていただきました。
 A先生は、私がトーク用に持参した資料を熱心にご覧になって、いろいろとコメントをくださったので、私の出番のとき早速そのお話を使わせていただきました(笑)
 A先生とお話させていただいていると、なんだか緊張が緩和してくるような気分になりました。本来ならA先生のような神様級の大御所とお話しするなんて激しく緊張することなんですが、A先生のご性格はとても癒し系なんです^^
 
 ・控室にて藤子A先生と


スタジオ・ゼロ物語」は2部構成で、1部の出演者は藤子不二雄A先生、鈴木伸一先生、2部が鈴木伸一先生、石津嵐先生、そして私でした。
 1部は私の出番がないので、関係者席でビールを飲みながら、A先生と鈴木伸一先生のトークを堪能。漫画家さんが観客として大勢いらっしゃていて、私の前には桜多吾作先生が、横のテーブルには藤原カムイ先生が座っておられました。


 1部は、A先生の絶妙な話術が炸裂。スタジオ・ゼロ虫プロから外注されたアニメ『鉄腕アトム』「ミドロが沼の巻」のエピソード(鉄腕アトムの顔が、藤子アトム、石森アトム、つのだアトムと、バラバラになってしまった事件)を中心に、トキワ荘時代のエピソードもふんだんに折り込みながらトークを展開、会場をバンバンわかせていらっしゃいました。
 私の近くで観覧されていた漫画家さんがたも、A先生の話術にたいそう感心しておられました。
 A先生のトークに対応する鈴木伸一先生の受け答えや間合いもすばらしく、お二人がお若いころから気ごころの知れた仲でいらっしゃることが伝わってきました。
 

 復刊ドットコムからもうすぐ発売される『小池さん!大集合』。その本にA先生はサインを入れて鈴木先生にプレゼント。鈴木先生は、「小池さんをこんなに描いてもらえて嬉しい」と素敵な笑顔を見せてくださいました。(ちなみにこの単行本は、22日ごろ一般発売。復刊ドットコムで事前予約した人にはすでに届いています)


 1部の途中、西原理恵子先生が美容外科高須クリニック」院長を連れて乱入!というハプニングもありました^^
 このときは、藤子不二雄A先生、鈴木伸一先生、西原理恵子先生、高須克弥さんが壇上に並ぶという凄すぎる状況に。A先生と高須さんによる美容トークまで聞けました(笑)


 たいへんな盛り上がりのなかで1部が終了。トーク中は撮影禁止だったのですが、終了時に撮影タイムが設けられました。
 


 
 ・客席の写真を楽しそうに撮られている先生方。


 控え室に戻ると、狭い空間のなかに、藤子A先生、鈴木先生、山田ゴロ先生、サイバラ先生、高須院長をはじめ、A先生・鈴木先生に挨拶に来られる漫画家さんでごった返し、私はその光景に圧倒されるばかりでした。



 そうして、私の出番がやってきました。
 2部の開始時間になってステージに上がると、それまでの緊張とはまた違った緊張感にみまわれました。出演者にはラーメンと飲み物が出されたので、それを飲食しながらのトークとなりました。
 ラーメン大好き小池さんのモデル鈴木先生がラーメンを食べる姿を見られるだけでも、ファンにはたまりません^^

 
 石津嵐先生は、虫プロ時代、制作進行のお仕事をなさっていて、「ミドロが沼の巻」も担当されました。スタジオ・ゼロの側だった藤子A先生とは異なる虫プロの側からの「ミドロが沼の巻」エピソードを語ってくださいました。とにかく、虫プロの担当スタッフは大変な思いをしたようです^^

 
 私は、スタジオ・ゼロの出身者を紹介しようということで、『トイレット博士』のとりいかずよし先生、今年1月に急逝された野口竜先生、「COM」第一回新人賞を受賞した萩村純忠さんなどを取り上げました。野口竜先生のお仕事では、私が子供のころに放送されていた特撮ヒーロー番組『ザ・カゲスター』のデザインが印象深い、といった話をしました。
 萩村純忠さんについては、私には謎に包まれた方だったのですが、今回鈴木先生から詳しいお話をうかがえてよかったです。


 あと、小池さんというと「あぐらをかいてひたすらラーメンを食べている人」という印象が強いのですが、藤子両先生はいろいろな小池さんを描いてらっしゃるので、その一部を紹介させていただきました。
 F先生の短編マンガ『カイケツ小池さん』(スーパーマンのような能力を得た小池さんが痴漢を八つ裂きにして血しぶきが飛んでいる場面)だとか、A先生が雑誌「SIGHT」で描いた「2005年の小池さん」のイラストなどをスクリーンに映して紹介しました。 F先生が小池さんのようにあぐらをかいてラーメンを食べる写真(「週刊現代」掲載の記事)などもお見せしました。
 控室でA先生から『マボロシ太夫』に登場する怪物的画家ジャーニー氏も小池さんなんだよ、とうかがったので、さっそくそれも発表^^

 
 カバンが膨れ上がるほど大量に資料を持参したので、先生方のお話に合わせて適切な資料を取り出すことができました。愛知の自宅から重い鞄を引っ提げて行ったことがおおいに報われました。もちろん、イベント中に使用しなかった資料もいっぱいあるのですが^^


 2部の終盤、私が「今のアニメで先生方が注目されている作品はありますか?」と質問したら、鈴木先生から『魔法少女まどか☆マギカ』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のタイトルが出て、さらに山田ゴロ先生からは『けいおん』のタイトルも飛び出して、スタジオ・ゼロという1960年代の話題から、一気に21世紀の話題に跳んでトークに花が咲きました。


 
 ・2部が終了して控室に戻ったとき、鈴木先生に小池さんの人形(ラーメンタイマーという品)を差し上げたら、大変喜んでくださって、「杉並アニメーションミュージアムに飾るよ」とおっしゃってくださいました。
 藤子・F・不二雄先生から小池さんのぬいぐるみをもらったことはあるけれど、この人形は持っていなかったそうです。


 とても緊張しましたが、楽しく貴重な体験をさせていただきました。
 1時間半ほどものあいだ観客の前にいるという体験は初めてだったので、こうした状況に不慣れな私でしたが、あたたかな観客の皆様、共演者の先生方、司会の山田ゴロ先生、スタッフの方々のおかげで、なんとか自分の役割を最低限は果たせました。ありがとうございます。
 友人知人たちが私の登壇時に盛大な拍手を送ってくれたり、私と視線が合うくらいにこちらを見てくれて、心強い思いがしました。
 トークを終えてステージから降りたとき、女性のお客さん(私の知らない方)から「お疲れ様でした」と言ってもらえたことも癒しになりました。
 最後に、このような素晴らしい機会をくださった主催の山田ゴロ先生、TOKIYAさんにあらためて感謝申し上げます。