藤子・F・不二雄大全集第3期第11回配本

25日、藤子・F・不二雄大全集第3期第11回配本が発売されました。


●『新オバケのQ太郎』4巻
 
 幼年向けの媒体で発表された『新オバQ』をオールカラーでまとめた魅惑的な一冊です。大きくて綺麗な絵で幼年版『新オバQ』の世界をたっぷりと堪能できます。
 そして、『新オバQ』って幼年向けのお話がとても多いんだなあ!と実感できます。「めばえ」(2〜4歳向け)や「ベビーブック」(1〜3歳向け)といった最低年齢層向けの雑誌で発表された話もたくさん収録されています。今月同時配本されたのが青年・大人向けの作品を収録した『SF・異色短編』ですから、それと比較することで、Fマンガの作風の驚嘆すべき幅広さや対象年齢の著しい開きっぷりをまざまざと味わうことができます。



●『SF・異色短編』4巻
 
 1巻と2巻は「ビッグコミック」系、3巻は「漫画アクション」系で発表された作品を収録していましたが、この4巻は「SFマガジン」「奇想天外」といったSF専門誌をはじめ諸々の媒体で発表された作品を集めています。藤子マンガが掲載される媒体としてはちょっと意外だったり珍しかったりする雑誌が結構あるので、私の収集品のなかからいくつか紹介してみます。


 
 ・『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』掲載の「S・Fマガジン」1976年1月号(早川書房
「S・Fマガジン」はF先生の短編を12回も載せているので発表媒体として珍しいとは言えませんが、今巻収録作の半数以上が「S・Fマガジン」で発表されたものであることに敬意を表して、ここで取り上げてみました。
 同誌は日本を代表するSF専門誌ですし、活字作品ばかりが並ぶ誌面のなかマンガが掲載されるのですから、SF好きのF先生にとってこの雑誌に描けるのはたいへんな栄誉だったと思います。


 
 ・「別冊問題小説」(徳間書店)×2冊。
 ミステリーやSF作品を載せる大衆小説誌です。1977年冬季特別号に『カンビュセスの籤』、同年夏季特別号に『宇宙人レポート サンプルAとB』が掲載されています。『カンビュセスの籤』は巻頭掲載。


 
 ・『並平家の一日』を掲載した「SFファンタジア」5[風刺編](学研)
「SFファンタジア」は全7巻で刊行されたSF本です。第1巻「地上編」、2巻「時空編」、3巻「異世界編」、4巻「幻想編」、5巻「風刺編」、6巻「マンガ編」、7巻「アート編」というラインナップ。


 
 ・『俺と俺と俺』を掲載した「GORO」1976年7月8日号(小学館
 かつて小学館が出していた若者向け男性誌です。この号の表紙はアグネス・ラム。表紙を1枚めくると彼女のピンナップが挟み込まれています。



 月報の情報も見逃せません。
 前から予告されていた「大全集オリジナル本棚」の発売がついに決まりました。8月24日から予約受付開始。欲しいのはやまやまですが、置く場所がない……お値段が39800円というのも手を出しづらいです……
 第3期のラストを締め括る『UTOPIA最後の世界大戦/天使の玉ちゃん』の解説を藤子不二雄A先生が書く!というのも素晴らしいニュースです。解説を書くのに最もふさわしい人物の抜擢に拍手を送りたいです。