「脂肪にドーン」と「一本いっとく?」

 昨年8月からサントリー黒烏龍茶のテレビCMに『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造が起用されています。ところが今年の6月になって、そのCMに対し「消費者庁から改善を求める通知書が送られる」というニュースが報じられました。
 http://buzzap.jp/news/20120625-kuro-oolong-cm/

 喪黒が「脂肪にドーン」と叫び「食べながら脂肪対策」「ご家庭で脂肪対策」といったテロップの出るCM内容が、「あたかも食品を使用すれば、バランスのとれた食生活を考慮しなくてもよい旨を示唆するような表現が用いられている」「偏った食生活を助長するおそれがあり不適切」と指摘されたのです。(通知書は3月26日付で送付)
 一時は、喪黒が登場するCMはこれで終わりかも、と思ったりもしましたが、その問題は喪黒に責任があったわけじゃありませんから、今もしっかり喪黒が起用され続けています。


 この問題以後に放送されているCMは、今のところ「哀川翔」篇と「加山雄三」篇。
 http://www.suntory.co.jp/softdrink/kuro-oolong/cm/index.html
「体に脂肪がつきにく」がキャッチフレーズになっています。


 黒烏龍茶のペットボトルに貼られているキャンペーンシールは、こんな感じになっています。
 
 
 
 今後もまだまだ喪黒が登場するテレビCMを楽しめそうで、何よりです。



 藤子A先生が描いたキャラクターがかかわったテレビCMのうち、マスメディアでこうしてネガティブなニュースになった事例として私が思い出すのは、田辺製薬のアスパラドリンクです。この場合、べつにCMそのものに何か問題があったわけじゃありません。CMに出演していたタレントが問題を起こしたのです。
 1999年から放送されたアスパラドリンクのCMに「一本いっとく?」とセリフを発する「アスパラマン」が登場しました。アスパラマンは、イラン人タレントが演じたキャラクターなのですが、そのユニークな風貌と筋肉モリモリの体と「一本いっとく?」のフレーズがウケて人気を博しました。
 アスパラマン人気の高まりのなか、2001年ごろでしたか、“複数の巨匠漫画家がアスパラマンを描く”という企画が行われました。その巨匠漫画家の一人に藤子不二雄A先生がいたのです。(A先生のほかは、池上遼一先生、池田理代子先生、江口寿史先生、宮下あきら先生という顔ぶれでした)
 各漫画家が描いたアスパラマンはポスターにもなって駅などに掲げられました。
 藤子不二雄A先生バージョンのアスパラマンポスターがこれです!
 
 アスパラマンが喪黒福造と化しています(笑)
 A先生は、『プロゴルファー猿』の竜や『ウルトラB』のマッスルバード、『魔太郎がくる!!』の「燃えよ!魔太郎」などなど、筋肉フェチ!?と思えるようなリアルで濃い筋肉の細密描写を幾度も表現されてきましたが、このアスパラマンも藤子A筋肉キャラの一人ということになりましょうか。
 このポスター、一畳分はあろうかという巨大サイズなので、大きさを示すためコミックスや雑誌を隅に置いてみました。私の藤子コレクションのなかでも最も面積の広い品の一つじゃないかと思います。


 で、何が問題だったのかといえば、このアスパラマンを演じていた筋肉ムキムキのイラン人タレントが、2002年に出入国管理法違反(不法残留)容疑で逮捕されたのです。
 http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/6183/main093.html
 就労ビザを持たず観光ビザだけで来日し、3ヵ月後ビザが切れてからも11年間にわたって不法滞在、そのまま芸能人として就労し続けていたことが発覚して逮捕に至ったようです。
 これがつまり“藤子A先生が描いたキャラクターがかかわったテレビCMのうち、マスメディアでネガティブなニュースになった事例”というわけです。これはサントリー黒烏龍茶の例以上に、A先生のかかわりは間接的なものですね。
 イラン人タレントは同年の裁判で懲役2年8ヶ月(執行猶予5年)の有罪判決を受けました。裁判官は判決理由として「長期間の不法残留で悪質だが、その間のまじめな働きぶりは周囲に評価されている」と述べました。その後、日本人女性と結婚し、正式な滞在許可を得た、という話です。