えびはら武司トークイベント

 28日(日)『まいっちんぐマチコ先生』の作者えびはら武司先生のトークイベントが阿佐ヶ谷ロフトAで開催されました。
 

「マンガワールド其の4 えびはら武司
【出演】えびはら武司
【司会】IKKAN
【MC】浜田由梨
【ゲスト】高峰至(コミック・コーディネーター)
     御茶漬海苔(漫画家)
【会場】阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/lofta/
【日時】10月20日(日)OPEN 12:00 / START 13:00

 
 地上から会場へ降りていく階段の壁に、11月から刊行されるGAMANGA BOOKS『まんが道』(小学館クリエイティブ)のポスターが!


 
 入口から少し入ったところには、藤子不二雄A先生の喪黒色紙が飾ってありました!!


 トークイベントの第1部は、えびはら先生の藤子スタジオ時代の先輩にあたる高峰至先生をゲストに招き、主にえびはら先生の少年時代や藤子スタジオ在籍時のエピソードが語られました。
 
 ●えびはら武司先生とMCの浜田由梨さん


 えびはら先生は高校3年生のとき藤子先生の弟子になりたくて藤子スタジオに電話。そのときたまたまお昼でスタッフが外出しており、スタジオ内で奥様のつくったお弁当を食べていた藤本先生が電話をとりました。面接も藤本先生と1対1で行なうことに! これは奇跡的と言ってよいほどめったにないことなので、えびはら先生は非常にラッキーだったのです。
 しかし面接中、藤本先生はほとんど喋らず沈黙が続き、えびはら先生は「あんなに楽しいマンガを描いている人だから、もっと明るい人かと思っていた」と意外に感じたそうです。


 えびはら先生が藤子スタジオに入ってこれまた意外だったのは、アシスタントの方々があまり藤子ファンじゃなかったこと。編集者の紹介やアルバイトニュースなどを見て“入社”した感じの方が多く、熱烈かつ純粋な藤子ファンのアシスタントはえびはら先生が第1号だったのです。
 えびはら先生は、それまで読んできた藤子マンガのなかでは、特に『海の王子』『21エモン』『モジャ公』などSF系のものが好きだったそうです。


 藤子スタジオでは、当時劇画タッチの作品をいくつも描いていた安孫子先生のアシスタントのほうが圧倒的に多かったのですが、えびはら先生はほぼ藤本先生専属のアシスタントで、席も藤本先生の隣でした。藤本先生から原稿がまわってくると、ぜんぶ自分がやる!くらいの感覚で仕事をやっていたそうです。


『バケルくん』連載時、お化け屋敷のデザインを考えておいてほしい、と藤本先生から宿題を出されたのに、えびはら先生は半年くらい放置してしまったため、そのあいだ『バケルくん』のなかではほとんどお化け屋敷を舞台にできなかった…というお話も興味深かったです。


 高峰至先生は鈴木伸一先生の紹介で藤子スタジオに入ることになり、そのさい藤本・安孫子両先生が面接してくださったとのこと。高峰先生は大の手塚ファンなので、藤子両先生と「僕は手塚先生の大ファンなんです!」「いや、僕だって手塚先生の大ファンだよ!」などと、ちょっとした張り合いトークになったこともあったといいます。


 高峰先生は、普段は安孫子先生の作品を手伝っていたのですが、藤本作品でもSF短編などの背景を描くことはありました。1970年代の藤子マンガのなかで緻密かつ抒情的な風景描写が見られる場合は、高峰先生が担当されていることが多く、たとえば『みどりの守り神』のジャングル化した新宿高層ビル群や、『愛ぬすびと』の雨の降りしきる室生寺などは高峰先生のお仕事です。


ドラえもん』がてんとう虫コミックスに収録されるとき、原稿が見つからないときやカラー原稿の場合、アシスタントがトレスした版が使われることがよくありました。えびはら先生と高峰先生は、自分がトレスした話は今見ても判別できるし、そのときの体調までわかるそうです。藤子・F・不二雄大全集では、そうしたトレス版は一切使われず、きっちりと原稿から印刷していますし、原稿が紛失している場合は雑誌から復元していて、藤本先生の描線を再現することに徹底的にこだわっており、えびはら先生はそのことを評価されていました。


 第1部と2部の休憩タイムに先生方と記念写真!
 
 帽子をかぶっているのが高峰至先生、指を立てているのがえびはら武司先生です。
 私は藤子不二雄A先生がかつて「ビッグコミック」に連載していたコミックエッセイ『パーマンの日々』のえびはら先生と高峰先生が登場する回(1980年2月25日号)のコピーを持参。両先生に見ていただきました。


 
 第2部は、えびはら先生の元アシスタント、御茶漬海苔先生がゲスト!『まいっちんぐマチコ先生』の創作秘話などが語られました。
 
 御茶漬海苔先生とえびはら武司先生の師弟共演!
 御茶漬海苔先生の作風を思うと、えびはら先生のアシスタントだったことが意外です。


まいっちんぐマチコ先生』のプロトタイプとなった『まちこ先生のパンティー』というマンガを藤子スタジオの同人誌「Q」に描いた話から導入し、マチコ先生関連のお話で盛り上がりました。
 えびはら先生は冗談で、藤本先生は『まいっちんぐマチコ先生』のH要素に触発されて『エスパー魔美』を描かれたんじゃないか(笑)と自説を披露。
 司会のIKKANさんが野沢雅子さんと親しいということで、アニメ版マチコ先生で池上ケン太くん役だった野沢さんの録音メッセージが流されたりもしました。


  
 これは、私所有の「Q」4号(昭和53年、藤子スタジオ発行)です。えびはら先生の『続 まちこ先生のパンティー』が掲載されています。「続」じゃないほうの『まちこ先生のパンティー』は2号に掲載。



 トークショー後に抽選会が行われました。
 私は幸運にも御茶漬海苔先生がその場で描かれた色紙が当選! 
 
 貴重な御茶漬海苔まいっちんぐポーズです。


 チャリティーオークションでは高峰先生の色紙を落札し、チャリティーサイン会でえびはら先生にマチコ先生を描いてもらいました!
 
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 イベントが終わったあとは打ち上げに参加させていただき、えびはら先生や高峰先生と一緒にお酒を飲むことができました。4〜5時間くらい同じ居酒屋にいて、興味深いお話をたっぷりとうかがえ、じつに楽しく刺激的な時間をすごせました。
 皆様ありがとうございました!