『まんが道』の歴代単行本

 GAMANGA BOOKS『まんが道』(小学館クリエイティブ、全10巻)の第1回配本(1巻・2巻)が20日(火)に発売されました。
 私は予約申込み手続きが遅れてしまったため、今日になってようやく手に取ることができました。
 

 

 これまで『まんが道』の単行本は何バージョンも刊行されましたが、今回のシリーズは造本がしっかりしていること、カラーページの再現があることが大きな特徴です。


 こちらが特設サイト!
 http://www.shogakukan-cr.jp/mangamichi/


 コミックナタリー・藤子不二雄A先生インタビュー
 http://natalie.mu/comic/pp/mangamichi

 ●特典
 1、第1巻に、藤子不二雄A先生と手塚治虫先生のツーショット写真(第8巻に並木ハウスでピアノを弾くシーンがあり、そのとき撮影されたもの)・
 2、全巻購入者に、著者サイン入り特製万年筆。詳しい応募方法は10巻に封入。
 3、【限定特典】サポート店・所定のネットストアで全巻購入予約した人には、「コロコロコミックまんが道」の冊子も!


 サポート店のリストはこちら。
 http://www.shogakukan-cr.jp/mitsume/shop.html


 
 ・第1巻に挟まれていた特典、藤子不二雄A先生と手塚治虫先生のツーショット写真

 GAMANGA BOOKS『まんが道』刊行開始を記念して、『まんが道』の歴代単行本を紹介しましょう。(『まんが道』は、「あすなろ編」「立志編」「青雲編」「春雷編」に大別できます。そのほか、「コロコロコミック」1986年9月号で読切掲載された『まんが道スペシャル』があります)


 
 ・『まんが家修行 まんが道』全1巻(秋田書店、1972年):『まんが道』初の単行本。「少年チャンピオン」に連載された「あすなろ編」を収録。箱入のハードカバー本です。


 
 ・ヒットコミックス『まんが道』全19巻(少年画報社、1978年〜):「立志編」「青雲編」を収録。『まんが道』が「週刊少年キング」連載中に刊行された、新書判の単行本です。私が『まんが道』を初めて読んだのはこの単行本でした。それだけに愛着のあるレーベルです。


 
 ・藤子不二雄ランドまんが道』全23巻(中央公論社1984年〜):マガジンタイプの藤子マンガ全集「藤子不二雄ランド」のラインナップとして刊行されました。「あすなろ編」「立志編」「青雲編」を収録。セル画付き。


 
 ・愛蔵版『まんが道』全4巻(中央公論社、1986年〜):「あすなろ編」「立志編」「青雲編」を収録。「あすなろ編」が最終巻の第4巻に収録されています。NHK銀河テレビ小説の枠で『まんが道』のドラマが放映されることが決まったのに合わせて刊行されました。“愛蔵版”と言うわりに、あまり紙質はよくありませんが、この単行本によって『まんが道』が一般にも浸透していったとの印象が強いです。とにかく分厚い本です。


 
 ・F.F.ランド・スペシャル『第二部 まんが道』全2巻(中央公論社、1987年〜):「藤子不二雄ランド」巻末で連載された「春雷編」を収録。


 
 ・中公文庫コミック版『まんが道』全14巻(中央公論社、1996年〜):「あすなろ編」「立志編」「青雲編」「春雷編」を収録。ただし「あすなろ編」の終盤30数ページがカットされています。


 
 ・藤子不二雄Aランド『まんが道』全23巻(ブッキング、2003年〜):「あすなろ編」「立志編」「青雲編」を収録。藤子不二雄ランド版全23巻(中央公論社)からセル画や巻末企画などをカットして復刊したもの。


 このリストからも分かるとおり、ひとつのレーベルで「あすなろ編」「立志編」「青雲編」「春雷編」を収録した本は、これまで中公文庫コミック版全14巻しかありませんでした。ですが、この中公文庫コミック版は、「あすなろ編」の終盤と「立志編」の冒頭の内容が重複することから、「あすなろ編」の終盤30数ページをカットしています。
 そんなわけで、今回の小学館クリエイティブ版全10巻が完結したあかつきには、「あすなろ編」から「春雷編」までを網羅的に収録した初の単行本になるのです。
 個人的に嬉しいのは、多くのマンガ家、クリエイター、マンガファンが“バイブル”“人生の書”とまで語るマンガ史上の大名作『まんが道』が、これぞ愛蔵版!と言えるしっかりした装丁・造本で刊行される、ということです。『まんが道』は、藤子不二雄A先生の自伝的マンガであり、マンガ家マンガの古典と言える存在であり、戦後マンガ史の重要な時代を(史実どおりのストーリーではないにせよ)マンガのかたちで伝えてくれる証言の集積です。優れたビルドゥングスロマンとしても長く読み継がれていく名著でしょう。そんな作品が、永久保存版にふさわしい造りの単行本で刊行されたことを慶賀したいです。
 新規のレーベルから『まんが道』が刊行されることで、新たな読者層に届いてほしい、という気持ちも大きいです。私が最もよく利用する書店では、今回の『まんが道』がコミックスコーナーではなく文芸書の新刊コーナーに置かれており、こうしたところから、それまでとは違った読者層が開拓されていきそうな気がします。



 ●オマケ
 
 ・「週刊少年キング」1977年11月7日号
 この号から「立志編」の連載がスタート。表紙と巻頭(カラー7ページ、モノクロ18ページ)を『まんが道』が飾っています。この表紙イラストは、ヒットコミックス第1巻の表紙にも使われています。
まんが道』の本体とも言える「週刊少年キング」版がここからスタートしたのか、と思うと、実に感慨深いです。


 
 ・「週刊少年キング」1979年9月13日増刊号、1980年1月13日増刊号
まんが道』を特集した増刊号です。この2冊で「あすなろ編」すべてを再録しています。当時「週刊少年キング」で連載中だった『まんが道』の序章に当たる作品として「あすなろ編」を紹介しているのです。
 今回発売された『まんが道』第1巻の巻末「単行本未収録ギャラリー」に収録されているカラー扉は、この増刊号で発表されたもの。

 
 
 ・銀河テレビ小説まんが道』―青春篇―の台本