山田夏樹『ロボットと〈日本〉』

 先日、立教大学出版会から山田夏樹著『ロボットと〈日本〉 近現代文学、戦後マンガにおける人工的身体の表象分析』をご恵贈いただきました。
 
 副題のとおり、日本の代表的な近現代文学や戦後マンガで描かれたロボットやサイボーグなどの人工的身体の表象分析を通して、進展するテクノロジー環境のなか身体感覚がどう変容してきたかを読み解く…という学術論文をまとめた本です。


 著者の山田夏樹氏は、幼少の頃からの藤子ファンだそうです。本書の発端となったのは氏が2001年に提出した卒業論文で、これは藤子不二雄A藤子・F・不二雄を対象としたものだったとのこと。
 そんなこともあって、本書の第2章「〈記号の身体〉の顕在化」では、藤子不二雄A作品と藤子・F・不二雄作品がメインで論じられています。一箇所、私の著書からの引用があって、巻末の索引に私の名前を載せていただき光栄です^^


 本書「はじめに」で「いわゆる〈表現史〉から漏れるものであるがゆえに、読者への影響力に比して論じられることの少なかった藤子不二雄A藤子・F・不二雄の作品を対象とする」と記されているように、藤子マンガを表現論の観点から論じるというのはとても意欲的かつ希少な試みで、藤子ファンの一人として頼もしく思います。


 取り上げられている主なマンガ家・作家は、藤子両先生のほか、手塚治虫横山光輝梶原一騎、中上健二、村上龍村上春樹など。
 これからちゃんと読み始めることになるのですが、そうしたマンガ家・作家の顔ぶれも、論じられているテーマもまことに興味深く、私の琴線に触れてきます。