『シンジュク村大虐殺』『五百億円の鼡』単行本初収録!

 本日(30日・火)、単行本初収録となる『シンジュク村大虐殺』『五百億円の鼡』を収めた『藤子不二雄A ビッグ作家 究極の短篇集』が発売されました。
 
 A先生のブラック短編作品のなかには、初出以降長年のあいだ単行本に収録されないままのものが何篇かありまして、そのうちの一編が「ビッグコミック」1972年11月10日号で発表された『田園交響楽』でした。それが2011年になって、藤子不二雄A画業60周年記念・ビッグコミックスペシャル『藤子不二雄Aのブラックユーモア[無邪気な賭博師] 』に初収録されたときは驚き歓喜しました。今回は、そのとき以来の“単行本未収録だった藤子Aブラック短編が初収録される”というめでたい出来事です。

 『シンジュク村大虐殺』(初出:「ヤングコミック」1972年12月13日号)はソンミ村虐殺事件、『五百億円の鼡』(初出:「週刊漫画サンデー」1972年5月20日号)は沖縄への現金輸送作戦と、どちらも当時の現実の事件・出来事を素材にA先生が劇画タッチでフィクション化した作品です。
 他の収録作も『黒イせぇるすまん』『ひっとらぁ伯父サン』『B・Jブルース』『赤紙きたる』『田園交響楽』『北京填鴨式』『水中花』『マグリットの石』と、藤子Aブラック短編を代表する濃い傑作が並んでいて、作品のセレクトとしては個人的に非常に共感できます。 
 巻末では『愛…しりそめし頃に…』最終回執筆後に取材されたA先生のインタビューも読めます。『愛しり』最終回のラストをあのようにした理由など興味深いです。