藤子・F・不二雄大全集『ロケットGメン』

 藤子・F・不二雄大全集第4期第4回配本『ロケットGメン』が24日(金)に発売されました。
 
『ロケットGメン』は「小学二年生」1962年4月号から63年3月号まで1年間連載された作品です。この時代のF先生は、小学館の学習雑誌に『ロケットけんちゃん』『とびだせミクロ』『すすめロボケット』をはじめとしたヒーローものをいろいろと描かれています。
 これらの作品は、藤子・F・不二雄大全集が刊行開始されるまではすべて単行本未収録でしたが、全集第4期が完結すれば全作品が収録されることになります。『ロケットGメン』も、そんな学習雑誌連載ヒーローもののひとつです。


 今巻の収録エピソードは、大きくわけて4編あります。
 

 ・謎のウミヘビ
 ・原子力ロボットアドン
 ・レムリア王国を救え!
 ・海底魔城のアナコンダ

 主人公のロケットGメン(ひでお)の相棒ピックは、まるっこいデザインのマスコット的キャラクターです。のちに描かれる『キテレツ大百科』のコロ助をちょっと思い起こさせるところがあります。
 ロケットGメンが操縦するアロー号は、前方と後方が分離してロケットと潜水艦になる、というかっこいいメカ。ロケットGメンは、このアロー号を駆使して、世界征服をたくらむ強大な敵組織と戦うのです。
 他に登場するさまざまなメカも、デザインに力がそそがれています。原子力ロボットアドンのデザインは、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』に出てくるトライポッドを彷彿とさせるたたずまいで、奇抜な魅力があります。
「レムリア王国を救え!」では、物語の途中で、この王国で起こった大きな事件が紹介されますが、その事件は、大長編ドラえもんのび太の宇宙小戦争』を思わせるところがありました。


 巻末の解説は池田憲章さん。『海の王子』から藤子マンガをリアルタイムで愛読してきたその記憶と感覚をまじえながらの解説で、じつに興味深いです。


『ロケットGメン』は、この時代の他の学習雑誌ヒーローものと同様、別冊ふろくのかたちで発表されたパートが多いです。私は高校生のころ『ロケットGメン』の別冊ふろくが古本屋で数百円で売っているのを見つけ、購入したことがあります。
 
 「小学二年生」1962年7月号別冊ふろく


 
 「小学二年生」1962年8月号別冊ふろく


 けっこう傷んでいますが、それまでまったく読んだことのなかった『ロケットGメン』という作品に触れることができた喜びと、傷んでいるおかげで安価で買えたラッキーを思えば、その傷みもいとおしくなります。