第17回手塚治虫文化賞

 ひとつ前のエントリで少し触れたとおり、先月31日、「第17回手塚治虫文化賞」贈呈式・記念イベントを観覧しました。
 

マンガ大賞原泰久『キングダム』
新生賞:山本美希『Sunny Sunny Ann!』
短編賞:業田良家機械仕掛けの愛

 会場は、朝日新聞東京本社内の「浜離宮朝日ホール」。
 受付でパンフレットやサファイアのバッジやなどを手渡されました。
 
 このバッジ、サファイアの表情がきりっとしていて素敵です。


 
 受付から入ったばかりのスペースで、受賞作を紹介するパネルや単行本が展示されていました。
 
 
 
 各パネルに、受賞した漫画家さんの直筆サインが!



 式は、朝日新聞社社長による主催者挨拶から始まりました。
 来賓祝辞は手塚眞さん。世界に類を見ない日本マンガの表現の豊かさについて語られました。
 選考委員の一人ブルボン小林さんが、選考経過を報告。第1次選考を通過した7作品のなかでは最低点で、中野晴行さんしかポイントを入れてなかった『キングダム』が大賞を取るに至った大逆転劇をユーモラスに披露されました。


 賞の贈呈式では、『機械仕掛けの愛』で短編賞を受賞した業田良家さんが賞状の文面が読み上げられる前に手を差し出してしまう、というハプニングがありました。その直後のスピーチで業田さんは、漫画家生活30年で初めて賞をもらうので嬉しくて先に手を出しちゃいました(笑)とご自身の行動を笑いのネタに昇華。
機械仕掛けの愛』第1巻に収録された9編のうち特に気に入っている作品は?との質問に、業田さんは「罪と罰の匣」を挙げました。正義感の強い刑事ロボットが貧しい人のために偽札をつくるという、社会正義の問題をあつかった話です。


『Sunny Sunny Ann!』で新生賞を受賞した山本美希さんのスピーチは、感極まりそうになるのを抑えながらお世話になった人や選んでくれた人にお礼を述べている姿が印象的でした。


 大賞受賞記念トークは、『キングダム』の作者・原泰久さん、選考委員の永井豪先生、中野晴行さんの3人で行われました。原さんが、キャラクターが死ぬシーンを描いているとぽろぽろ涙をこぼしてしまうと話すと、豪先生は、キャラクターを描くのはエネルギーをものすごく消費する行為、1日5食べても太らない、とご自身の体験を重ねられました。
『キングダム』を連載中なのでそれ以外の作品は考えられないかもしれないが次に描きたいのはどんな作品か?と訊かれた原さんは、今は(過去の出来事を描く)歴史モノなので、今度は未来世界を舞台に、ガンダムみたいなロボット大戦モノをやりたい、と返答。


 式が終了すると、ステージ上に受賞者3名と選考委員の皆さんが並び、記念撮影となりました。
 選考委員のブルボン小林さんが会場から出られようというタイミングで声をおかけすると、「おお、稲垣さんですか!尊敬しています!!」と力強く握手をしてくださいました。私のことを認識してくださっていただけで光栄ですが、意外なほど熱烈なリアクションを返してくださって、恐縮しながら感激してしまいました。
 私がブルボンさんの存在を認識したのは、ブルボンさんのもう一つの顔「小説家・長嶋有」のデビュー時でした。そのころ私は純文学雑誌「文學界」を時々買っていて、長島有さんが『サイドカーに犬』で文學界新人賞を受賞した号も購入して読んでいたのです。その後になって、長嶋有さんは「ブルボン小林」という別名義でコラムニストとしても活動されているんだ、と知ったのです。
 長嶋有さんといえば、「長嶋有漫画化計画」のシンボルマークを藤子不二雄A先生が描いていらっしゃいます。
 
 ドーン!
 というわけで、当ブログらしく藤子ネタで今日のエントリを終えようと思います(笑)


 
 朝日新聞社内で見かけた「しつもん!ドラえもん」の大きめのポスター!




●本日放送された「笑っていいとも!増刊号」で、藤子不二雄A先生が出演されたテレフォンショッキング(5月28日オンエア)のダイジェスト映像が流れました。CM中のトークが紹介されたのが嬉しかったです。肉や魚を食べないし漫画家は他人と直接争わなくてもいいので自分は闘争心が弱い…というA先生のお話を受けて、タモリさんが赤塚不二夫先生のエピソードを披露しました。