藤子・F・不二雄 生誕80周年記念イベントat KITTE

 森下文化センターの『「漫画少年」とトキワ荘の時代 〜マンガが漫画だった頃』の最終日に上京したさい、もうひとつ、最終日を迎えたイベントに足を運びました。 KITTEで開催されていた「藤子・F・不二雄 生誕80周年記念イベントat KITTE」です。
 
 名古屋から東京駅を経由して森下へ向かったので、東京駅前にあるKITTEに立ち寄るのに都合がよかったです(笑)


 KITTEの1階入口からなかに入ると、ガラス天井の吹き抜け空間「アトリウム」が広がっています。そこに「Fキャラクターで彩る空中アート」が吊り下がっていました。
 


 心のなかで「おお〜!」と感嘆の声を上げながら近づきます。
 
 
 チラシによると、Fキャラのプレートは80枚!


 
 
 Fキャラがいっぱいいるだけで私には心ときめく光景ですが、この空中アートの大がかりで美しいさまにしばらく見惚れました。


 
 
 空中アートの真下にはドラえもんが座っています!


 
 オープニングセレモニーでドラえもんが一日郵便局長をつとめたときの映像。



 
 1階アトリウムから地下1階に下り「Tokyo City i」なるスペースに入ると、川崎市藤子・F・不二雄ミュージアムと東京タワーで開催中の藤子・F・不二雄展を紹介するコーナーがありました。このスペースの一番の目玉は切手フレームのフォトスポットでしょう。
 
 
 切手フレームのフォトスポットはこの2種類がありました。この箱のなかに入って外側から撮影してもらうと、自分が切手の絵柄の一部のようになれるのです。


 
 このシアター的スペースでは、川崎市藤子・F・不二雄ミュージアムの宣伝映像が流れていました。


 
 
 Fミュージアムや東京タワーF展で販売されているグッズの紹介も。



 同展では、1階「アトリウム」と地下1階「Tokyo City i」ともう一箇所、「地下広場」にも展示スペースがありました。
 
 地下広場は「藤子・F・不二雄のことば」「Fキャラクター&名セリフコーナー」です。


 
藤子・F・不二雄のことば」は、壁のショーウィンドウが使われ、F先生の残した発言がパネルで紹介されていました。

・「子どものころ、ぼくは“のび太”でした」
・「私が漫画をかくに当たっての姿勢は“良質の娯楽を提供したい”ということ、これにつきる」
・「ドラえもんというのは、ぼくが今まで描いてきた漫画のひとつの帰結点だと思っているんです」
・「そうじゃなくて、挫折しても明るく夢を見続ける「自分を見捨てない人」に共感してほしい」


 広場のところどころに立つ柱を使っての展示が「Fキャラクター&名セリフコーナー」でした。
 
 
 こんな感じで、Fキャラが柱にラッピングされているのです。



「名セリフ」コーナーは、四角い柱を使って、17キャラクター・26種のセリフがポスターサイズで掲げられていました(キャラ数・セリフ数のカウントに間違いがあったらすみません)。
 
 高畑くんとしずちゃんによる、近い意味のセリフが紹介されているのを観て、そのセリフが発せられた2つの場面を思い出し、勝手に感動(笑)
 
 ●「理屈じゃないんだよ、人を信じるってことは。」(『エスパー魔美』「魔女・魔美?」より)
 他人の生活を覗き見していると噂を立てられクラスメイトから避けられる魔美。普通に考えれば魔美の仕業としか思えない状況のなか、それでも高畑くんは魔美が犯人じゃないと信じてくれました。魔美は高畑くんに問います。
「あらゆる証拠が不利なのに? それでもあたしを信じてくれるの!?」
 それに対し、高畑くんはこう答えるのです。
「理屈じゃないんだよ、人を信じるってことは。」


 ●「ときどきりくつにあわないことをするのが人間なのよ。」(大長編ドラえもんのび太と鉄人兵団』より)
 リルルは地球侵略を目的とする鉄人兵団の一味です。地球人の敵です。しかししずちゃんは、傷ついたリルルを献身的に助けました。リルルは「人間のすることってわからない。」とつぶやき、しずちゃんにこう尋ねます。
「どうして敵を助けるの。」
 しずちゃんは笑みを浮かべながら答えます。
「ときどきりくつにあわないことをするのが人間なのよ。」


 どちらも合理性や損得を抜きにして、相手を信じようとする場面です。努力して「信じようとする」のではなく、高畑くんやしずちゃんは、相手を自然に「信じている」のです。その信じ方がじつにさりげなくて、でもその信じ方にはしっかり根っこがあって、揺るぎないのです。
 高畑くんなんて、本来は理屈っぽい人というか、論理的・科学的にものごとを思考するタイプなのに、この場面では理屈を超えて魔美を信じているわけで、このセリフ、高畑くんらしくないのに実に高畑くんらしい言葉だなあ、とあらためて感じました。


 
 ●「ねむるのが悪い、おきてりゃえらいなんてだれがきめたんだろ。」(『ドラえもん』「ねむりの天才のび太」より)
 やはりのび太の屁理屈的セリフには秀抜なセンスを感じます(笑)モノの見方を逆転するような、ハッとさせる言葉でありつつ、それは自分に都合のよい屁理屈でしかない…というくだらなさがたまりません!


 
 ●「正義だけではもうからんよってな。」(『パーマン』「パーやんですねん」より)
 子どもなのに世慣れたような、ドライだけれど真を衝いたようなこのセリフ、パーやんの真骨頂ですね!


 
 ●「あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ」(『ドラえもん』「のび太結婚前夜」より)
 これはもう、感動のセリフとして非常にポピュラーなものになっています。私にとってこのセリフは、思春期の一時期、座右の銘のような位置にありました。



 同展は、Fミュージアムと東京タワーF展の宣伝を主目的とし、KITTEを訪れたお客さんがそのついでに観て楽しめるような催しでしたが、Fキャラ空中アートだけでも相当な見応えがありましたし、FキャラとF先生の言葉を紹介したコーナーでは、一つ一つの言葉を噛みしめながら味わって鑑賞できたので、ずいぶん満足感がありました。
 最終日にギリギリ間に合ってよかった!