藤子マンガとあんこ菓子

BRUTUS」11月1日号(マガジンハウス)の特集は「あんこ好き」藤子・F・不二雄先生がどら焼きを買いに来ていたという西新宿の甘味喫茶「時屋」が(わずかですが)紹介されています。
 
ドラえもんに登場するあんこ菓子のなかでも圧倒的な登場回数を誇り堂々たる存在感を放つのがどら焼きです。ドラえもんのどら焼き愛には遠く及びませんが、私もどら焼きは好きです。
 というか、ドラえもんの大好物だからこそどら焼きが気になる菓子になったのです。ドラえもんの深く濃く大きなどら焼き愛に感化されて、私にもどら焼きがいとおしい存在になったのです。

 そして個人的には、作中に1コマだけしか出てこなかった“あばら屋のきんつば”「かがみでコマーシャル」)も、非常にうまそうで印象深いあんこ菓子です。きんつばを食べた瞬間のび太が見せる幸せそうな表情と、「こ、このきんつばのうまいこと」というセリフ! のび太のその様子を鏡で見た女性が生唾を飲み込む「ゴクリ」という擬音! そうした、たった1コマに描かれた限られた情報だけで、きんつばにまるで馴染みのなかった子ども時代の私の脳に「きんつばっておいしいもの」というイメージがパパッと植え付けられたのです。

ドラえもん』の一編「こいのぼり」でこいのぼりの赤ちゃんのえさに使われた柏餅も、中身があんこの菓子ですね。こいのぼりの赤ちゃんは柏餅を食べて大きく育ち、たばこ家のてっちゃんの家まで泳いでいきます。こいのぼりにとって柏餅はよほど栄養価が高く成長促進効果のある食べものなのでしょう(笑)

ベトナムで売られていたドラえもんキャンパスノートの表紙でもこいのぼりが柏餅を食べています。

ドラえもん』の「おすそわけガム」では、のび太が「かしわもち大すき」と言っています。
 のび太ばかりか、柏餅が大好きな藤子Fキャラクターはほかに何人もいるんですよね。
『新オバケのQ太郎「かしわもちを守れ」ではQちゃんと正ちゃんが、『パジャママン』(「おともだち」版)「かしわもち大すき!」ではタツ夫くんが、『Uボー』「まいごのこいのぼり」ではこいのぼりが、柏餅が大好きであることを表明しています。
 藤子Fマンガは、柏餅大好きキャラクターがいっぱいなのです。そんなわけで、5月5日のこどもの日には私も柏餅を食べるのが恒例になっています(笑)


 それから、これは小豆あんではなく栗あんではあるのですが、バイバインに登場する栗まんじゅうも忘れがたいです。「バイバイン」一作のインパクトのおかげで、栗まんじゅうはドラえもんファンの間で話題にのぼりやすい菓子になっています(笑) 


 藤子作品におけるあんこ菓子といえば、藤子不二雄A先生のまんが道満賀道雄才野茂たい焼きを1個買って2人で半分ずつ分けて食べる場面も大好きです。両国の下宿先に帰るのが遅くなった2人は、都電森下駅を降りて「ああ 夕食の時間を過ぎてるよ」「今からじゃ ごはん食べてきてしまったというしかないよなあ」などと言葉を交わし、下宿先に帰り着く前に何か食べようと思ったものの、持ち合わせが10円しかなく、がっくり……。そんなとき目にとまったのが、たい焼き屋でした。そのお店で1個のたい焼きを買って、2人で分け合ったのです。
 
 
  満賀と才野がたい焼きを買った森下駅近くのたい焼き屋はこのお店であろう、と言われています。
 このお店で1個のたい焼きを買って2人で分け合う体験をしてみたいのですが、まだできていません(笑)