『宇宙少年団 ロケットくん』

 藤子不二雄A先生の初期作品『宇宙少年団 ロケットくん』上下巻(小学館クリエイティブ)が25日(金)ごろ発売になりました。
 

 
「ぼくら」1956年5月号から57年12月号まで連載されたSF冒険マンガです。連載当初は『宇宙少年団』というタイトルでしたが、第3回から“ロケットくん”という主人公名がタイトルに加わりました。



 この作品は、藤子不二雄A先生の自伝的マンガ『まんが道』『愛…しりそめし頃に…』において、連載第1回の原稿を担当編集者に見てもらうエピソードから、人気が高まり、やがて低迷して連載を切られるエピソードまでが描かれており、この時期のA先生にとって最も大きな仕事だったと言えます。『まんが道』を読む限りでは、ふるさと高岡に帰省して原稿を大量に落としたことによって仕事を干されていた満才茂道(≒藤子不二雄)にとって、再起の大きなチャンスを与えられた仕事だったとも見られます。(実際の藤子先生は、原稿大量落とし事件のあと完全に仕事を失っていたわけではありませんが、連載マンガのほとんどが打ち切られ、読切やコママンガ、カットなど細かい仕事で苦境をしのいでいました)


 そんな藤子マンガ史において重要な作品『ロケットくん』が、今回の単行本化によって全てを読めるようになりました。そのことを祝賀したいです。
 これまで、『まんが道』『愛しり』の劇中で『ロケットくん』のトレス版が断片的に再録されたり、『愛しり』単行本1〜2集の巻末付録として一部が掲載されたりしていましたが、今回が初めての単行本化、初めての完全収録となります。初出以降、ついに『ロケットくん』の全貌が明らかになったのです。


 私は『ロケットくん』の初出誌を1冊だけ持っているので探し出してきました。
 
 連載第2回の載った1956年6月号です。『ロケットくん』の各ページの柱には、この作品にちなんで宇宙に関する一行知識が載っています。太陽の大きさとか、宇宙には上も下のないとか、そういう知識です。