パトレイバー

 もう20日ほど前(10月5日[日])の話になりますが、名古屋の栄公園で『機動警察パトレイバー』の主役メカ“イングラム”のデッキアップイベントが開催されました。
機動警察パトレイバー』という作品は、大ざっぱな括り方をすれば“巨大ロボットSF”です。人間が乗り込んで操縦する巨大ロボットモノという意味で、『マジンガーZ』『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』といったエポックメーキングな作品を生み出したジャンルのうちの1作にあたるでしょう。このジャンルに詳しくはないのですが、『機動警察パトレイバー』が『新世紀エヴァンゲリオン』に影響を与えている、という見解も聞いたことがあります。
機動警察パトレイバー』は、まずイングラムのデザインが優れています。正義のヒーローロボット的なかっこいいデザインなのですが、ボディが白と黒とのツートンカラーだったり、桜の代紋やパトランプといったディテールにこだわりがあったりして、われわれが街で見かけるおなじみのパトカーを彷彿とさせます。“いかにも警察車両”というたたずまいを醸し出しているのです。空想と現実を地続きにする、秀逸なデザインです。
 イングラムのデザインだけではありません。作品の内容についても、警察組織のありさまや事件の背景の描写がじつに丹念で説得力があり、それがイングラムのデザインと相俟って、空想的な話なのになんだかありそうなリアリティを感じさせてくれるのです。
 そんなふうに私はイングラムのデザインを好ましく思っているうえ、巨大なものを見上げるのはただそれだけで気持ちのよい体験です。なのでデッキアップイベントを見物するのが非常に楽しくて、結局、12時、13時30分、16時30分の部の3回も立ち合ってしまいました。


 そこで今回は、イングラムデッキアップの模様を写真でレポートしてみます!

 
 
 ・レーバーキャリア(パトレイバー輸送用車両)に寝かされたイングラム


 
 
 
 ・デッキアップ過程のイングラム


 
 ・イングラムの正面方向には名古屋三越が!


 
 
 
 
 ・デッキアップ完了!!


 
 
 ・イングラムの背後に名古屋テレビ塔


 
 
 ・特車二課整備班の面々がイングラムを見上げる光景。


 
 
 
 ・再び寝かされるイングラム


 ただでさえ実在感を与えてくれる設定・デザインのイングラムが実物大で3次元化され、それを目の当たりにできて胸が躍りました。
 そんなイングラムのデッキアップイベントを見て、『機動警察パトレイバー』の作品に再び触れたくなってきました。そこでイベントから1週間後くらいに実家の部屋を探したら、ゆうきまさみ先生の新書判コミックスと、劇場版のVHSソフトが出てきました。さまざまにメディアミックスされてきた(現在も実写版プロジェクト『THE NEXT GENERATION パトレイバー』が展開中の)『パトレイバー』ですが、私が鑑賞したのはこのあたりです。
 


 ゆうきまさみ先生のマンガを読み返してみたら、ちょっとした藤子ネタが見つかりました。ゆうき先生のマンガ版においてイングラムの最強のライバルだったのが“グリフォン”というレイバーです。そのグリフォンがトラックで運ばれる場面があるのですが、この運送トラックのコンテナに「オバ急運輸」というロゴが記されているのです。
「オバ急運輸」のマークは、「Q」の字のなかでオバQが荷物を抱えながら飛んでいる、というデザインです。オバQがウインクをしているところがチャーミングです。
「オバ急運輸」はもちろん架空の運送業者ですが、これとたいへん似たイメージの運送業者が現実に存在しました。
 
「宅配鉄道便Q」です!
 ヤマト運輸が宅急便のサービスを始め、日本に「宅配便」という業態が広まりつつあったころ、宅急便に対抗して国鉄(現在のJR)が着手した宅配サービスが「宅配鉄道便Q」です。1982年からサービスが始まったのですが、他者との競争に負けて長くは続かなかった模様です。
「オバ急運輸」と「宅配鉄道便Q」は両方ともオバQの絵を大きなQの字で囲うようなマークの運送業者…という点で、非常にイメージが似通っています。ゆうき先生が「宅配鉄道便Q」をご存じで、そこから「オバ急運輸」を発想したのか、たまたま似たイメージになったのかわかりませんが、面白い符合だと思います。
 あと、『機動警察パトレイバー』が「週刊少年サンデー」連載作品ということに着目すれば、『オバケのQ太郎』は同誌連載作品の大先輩にあたるわけですね(^^