『プラテーロとわたし』

 敬愛する童話作家大海赫先生から『プラテーロとわたし』という本をおススメしていただきました。昨年のことです。
 私はおススメされてすぐ書店で岩波文庫版を入手し、今もすこしずつ読み進めています。一気に通読するより、数編ずつ読んで味わったほうが合っている本だと思うのです。
 

『プラテーロとわたし』は、スペインのノーベル賞詩人J・R・ヒメーネス(1881〜1958年)が書いた138編の散文詩で構成されています。ヒメーネスがスペインの田舎町ですごした日々のあれこれが、ふんわりとした濃い毛並みのロバ“プラテーロ”に話しかけるかたちで綴られます。「ねえ、プラテーロ」「ごらんよ、プラテーロ」といった呼びかけが頻出します。


 牧歌的でのんびりとした田舎暮らしと、プラテーロとの優しさに満ちた交流。作者はプラテーロに本気で恋をしているんじゃないかと思えるほど、熱烈な恋文のような詩もあったりします♪
 しかし、ただ牧歌的で優しいばかりではありません。ところどころに、人生の暗い面や自然の厳しさなどが織り込まれます。とても抒情的でありながら、田舎の生活や風景が冷静に観察されているのです。


 とにかく情景描写が繊細で豊かで美しいです。植物や鳥の名前が多様に出てきて、その具体性に絵画的な想像力を刺激されます。
 動物のなかでロバが一番好きだとおっしゃる大海先生。その大海先生が愛読された本書を読めば、いま以上にロバという動物がいとおしくなってしまうことでしょう(^^ ロバと友達になりたい、と思えてきます。


『プラテーロとわたし』に収録された138編の詩のなかには、「カナリアがにげた」「カナリアが死んだ」というタイトルの作品があります。それらを読んだとき、『ドラえもん』にもしずちゃんの飼っているカナリヤが逃げたり死んだりといった話があったなあ、と思いました。しずちゃんのカナリヤはしょっちゅう脱走しているのですが(笑)
 しずちゃんのカナリヤが逃げた話は、「なんでも空港」(てんコミ32巻)、「ガラパ星からきた男」(てんコミ45巻)、「コース決定機」(てんコミカラー作品集6巻)、「そのときどこにいた」(てんコミプラス3巻)など、
 カナリヤが死んだ話は、「わらってくらそう」(てんコミ8巻)、「ミサイルが追ってくる」(てんコミ12巻)などが思い当たります。
「ガラパ星からきた男」では、しずちゃんのカナリヤがパワーアップして活躍しますね(笑)