世界淡水魚園水族館「アクア・トト ぎふ」

 先週のこと、岐阜県各務原市にある世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふ」へ行ってきました。
 
 
 淡水魚の水族館としては世界最大級らしいです。一般的な水族館は、どうしたって海にすむ魚がメインで淡水魚は脇役にあまんじることになりますが、ここでは淡水魚が主役!海に面していない岐阜県らしい水族館とも言えましょう。


 4階から下の階へ進んでいく順路で、4階と3階では岐阜県を流れる清流・長良川の生き物を観察することができます。上流から中流下流、河口まで、環境を再現しながら丁寧に展示されていました。ヤマトイワナサツキマス、アユ、ウグイ、オイカワ、コイ、ギンブナ、ニホンウナギナマズなどなど、おなじみの淡水魚がきっちり展示されているところに、この施設の良心を見た気がします。タイコウチアメリカザリガニ、トノサマガエル、ニホンカナヘビなど、自分が子どものころよくつかまえた生き物もいっぱいで郷愁を誘われました。数が減っている希少種も観られました。


 2階と1階は、揚子江メコン川コンゴ川アマゾン川などにすむ世界の淡水魚の展示スペースです。ここからは藤子ネタと結びつけながら、施設内で観た魚を紹介していこうと思います。


 いろいろな魚がいましたが、ピラルクが最も心に残りました。なんといっても、『ドラえもん』に「水たまりのピラルク」(てんとう虫コミックス34巻)という話がありますからね。それだけで他の魚より愛着がわいてしまうのです。『ド・ラ・カルト 〜ドラえもん通の本〜』(小学館、1998年)では、この話の雑誌版と単行本版で意義深い書き替えが行われていることが紹介されています。
 
 
 
 
 
 ・ピラルク〜!

 
 ピラルクがとくに印象深く感じられたのは、館内のショップにピラルクグッズがいろいろと売っていたことも無関係ではありません。
 
 
 
 
 
 
 ・ピラルクグッズの数々!


 
 
 
 ・ピラルクの模型やパネルと記念写真も撮れます♪


「水たまりのピラルク」では、空間入れかえ機でアマゾン川の一部を日本に持ってきて、釣りをします。そのときピラルクより前に釣れてしまったのがピラニアでした。
 
 ・ピラニアナッテリー


 ピラニアというと、藤子不二雄A先生のマンガの印象が強いです。たとえば、『魔太郎がくる!!』の「自転車ピラニア事件」。“ピラニア”というあだ名の自転車マニアの少年が、魔太郎の自転車のパーツを盗みます。魔太郎がそれを追及すると、自転車マニアは逆ギレして魔太郎の顔を殴ってしまうのです。自転車の大事なパーツを盗まれたうえ顔を殴られたのですから、魔太郎が復讐しないわけがありません。「うらみ念法!!「ピラニア豪雨」!!」と叫んで、自転車に乗る自転車マニアにピラニアの雨を降らせました。“ピラニア”が本物のピラニアに襲われるという図式です。
 それから、『ブラック商会変奇郎』の「ピラニアの歯」も思い浮かびます。この話には、私立探偵を自称する鮫島という男が登場します。仲間内では“ピラニア”と呼ばれています。ピラニアそのものだけでなく“ピラニア”とあだ名される人間が登場する、というところも『魔太郎がくる!!』「自転車ピラニア事件」と共通します。
「ピラニアの歯」には、ピラニアの剥製が出てきます。鮫島が変奇郎のところへ持ってきたのです。変奇郎の秘密を知った鮫島は、そのことで変奇郎を強請って、90万円という法外な値段でピラニアの剥製を買い取らせようとしました。変奇郎はとりあえず3万円払ってピラニアの剥製を受け取り、それを部屋の水槽に入れます。なぜ剥製を水槽に入れたのか? 変奇郎は、喪黒福造を彷彿とさせる「ドーン」という特殊能力で、剥製を生き返らせたのです。話の最後には、そのピラニアが鮫島の顔に食いつきます。ここでも、敵対人物を退治する方法にピラニアが使われたわけです。
 A先生は、このピラニアの剥製を実際にお持ちです。A先生が“変コレクション”と呼んでいる品々のひとつです。アマゾンへ行ってきた友人のおみやげだとか。変コレクションを紹介する記事では「ピラニアの干物」と記されています。


アクア・トトぎふ」で観た魚のなかでは、発電する魚にも興味をひかれました。
 
 
 ・アマゾン川デンキウナギアマゾン川は先述の「水たまりのピラルク」でその名が出てきますが、「ドンジャラ村のホイ」でも描かれています。開発によって住み処を失っていくドンジャラ村の人たち(小人族)のため、ドラえもんは新たに住める場所を探します。それがアマゾン川の流れる原始林だったのです。アマゾン川はほかにも、『のび太と雲の王国』でちらりと登場しています。


 
 
 ・コンゴ川のデンキナマズコンゴ川は『のび太の大魔境』に出てきます。ヘビー・スモーカーズ・フォレストの位置を説明する場面で、その河川名が語られるのです。「そのアフリカ大陸のほぼ中央にザイール共和国がある。面積は日本の六倍半にもおよぶ。コンゴ川の南、コンゴ盆地の一角が……、『タバコ好きの森』(ヘビー・スモーカーズ・フォレスト)と名づけられたなぞの地帯なのだ」と。そのヘビー・スモーカーズ・フォレストに巨神像が立っているわけですね。(ザイール共和国は、現在のコンゴ民主共和国。同国は、1971年から1997年までザイール共和国と名乗っていました)


 ここで、コンゴ川のコーナーをもう少し紹介します。
 
 
 
 ・サカサナマズ


 
 
 ・バタフライフィッシュ


 
 
 ・テトラオドン・ムブ
 

 順路の終盤では、企画展「アフリカ進化の湖」を開催中でした。そこで、口内保育するシクリッドという魚が紹介されていました。
 
 
 
 ・シクリッドは、自分の口の中で卵や稚魚を保護して育てます。


 で、そんな口内保育するシクリッドの口の中に自分の卵を紛れこませ育てさせる別種の魚もいました。
 
 
 ・托卵というとカッコウなどの鳥が思い浮かびますが、魚のなかにも托卵する種がいたんですねえ。


 
 ・仮親であるシクリッドの卵より先に孵った稚魚は、シクリッドの卵を食べて成長するとか。カッコウなど托卵する鳥の場合は、先に卵から孵ったヒナが仮親の卵を巣から捨ててしまいます。托卵する生き物は、鳥でも魚でもずるくて残酷です。厚かましいにもほどがあります(^^)
 この托卵という習性をヒントにしたドラえもんひみつ道具が“カッコータマゴ”です。てんとう虫コミックス27巻収録の「カッコータマゴ」という話に登場します。この話のなかでドラえもんは、カッコウの托卵について簡潔に説明してから、「このタマゴを身につけると、かってによその家族になれるという、ずるい道具なんだ」とのび太に道具の機能を教えます。やはりドラえもんも、托卵のような行為を「ずるい」と感じているのです(^^)


アクア・トト ぎふ」、とても楽しめました♪



 ※オマケ
 
 
 
 ・コツメカワウソ、カピパラといった哺乳動物もいました。どちらも、寝てる姿が愛くるしかったです。アシカのショーも観られました。