「第2回モーレツ!原恵一映画祭in名古屋」

 19日(土)、シネマスコーレで開催された「第2回モーレツ!原恵一映画祭in名古屋」に参加しました。
 上映作品は3本。どれも、原恵一監督が演出などをされた『エスパー魔美』の名作でした。
 
 上映順は次の通りです。
 (1)テレビシリーズ『エスパー魔美』第54話「たんぽぽのコーヒー」(絵コンテ、演出:原恵一
 (2)テレビシリーズ『エスパー魔美』第96話「俺たちTONBI」(絵コンテ、演出、脚本:原恵一
 (3)劇場版『エスパー魔美 星空のダンシングドール』(監督:原恵一

 
 
 
 
 
 シネマスコーレに到着すると、『星空のダンシングドール』のポスターがいっぱい貼ってあって、観る前からお祭り気分が盛り上がりました。 こんなに『星空のダンシングドール』のポスターだらけの光景を見るなんて二度とないような気がします。それだけに、特別な日なんだ!と高揚感をおぼえたのです。
 
 
 
 
 
 
 シネマスコーレの向かいのCafeスコーレ内には、原恵一監督・エスパー魔美関連の本や資料がいろいろと展示されていました。これらを眺めているだけでもかなり楽しいです。時の経つのを忘れます。


 
 展示品のなかには原監督筆のサインと魔美イラストも!ササッと描かれたイラストですが、やっぱり魔美はチャーミング!


 
 劇場内にも原恵一監督の映画ポスターがいくつも貼ってありました。写真は、そのなかから藤子関連のポスターを写したものです。


 このイベント、ほんとうは原監督がトークゲストでいらっしゃる予定だったのですが、体調を崩されて急遽不参加となりました。それはもちろん残念でしたが、上映作品のひとつひとつがすばらしくて満足です。どれも再見でしたが、スクリーンで観られる喜びは大きいです。とくに劇場版はフィルム上映でしたし、1988年3月に公開されて以来およそ27年ぶりに劇場のスクリーンで鑑賞できました。


『星空のダンシングドール』は公開当時、『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』『ウルトラB ブラックホールからの独裁者B・B』と同時上映でした。1988年1月に藤子不二雄コンビ解消の報道があって衝撃を受け、しかも藤本先生がご病気で映画ドラえもんの原作を描けないという状況だったので、藤子ファンとしては暗澹たる気持ちにならざるをえない時期でした。そんななか、『星空のダンシングドール』のような名作が公開されたことは一筋の光明だったような気がします。
『星空のダンシングドール』のベースとなった物語は、藤子・F・不二雄先生のマンガ『エスパー魔美』のなかの「人形が泣いた?」です。これを大幅にアレンジして劇場版アニメーションにしています。制作するさい、F先生が「このイメージでやってほしい」と映画のレーザーディスクを原監督に貸してくださったそうです。それがミュージカル映画『リリー』(1953年)でした。原監督は、シナリオの人やプロデューサーたちと一緒にそれを鑑賞したとか。


 今回上映されたテレビシリーズの「たんぽぽのコーヒー」は、母親を亡くして新しい環境に適応できない子どもの心をその環境に適応させていく話で、「俺たちTONBI」は、夢に熱中していた青年が現実の前でいったん夢から離れようとするものの最後にはその夢を取り戻す話です。
 イベント内のトークでも触れられましたが、その二つの要素を含んだ物語が劇場版『星空のダンシングドール』とみることができます。こけし座の2人による人形劇によって少女の心が変化していくシーン(前半のクライマックス)や、魔美が超能力で人形を動かし夢をあきらめかけた青年の心を再び夢に向かわせるシーン(物語全体のクライマックス)では、目に涙が浮かびました。目の前で繰り広げられる人形劇が、それを観る人のリアルな心や人生を変える力を持っている…。そのことを敷衍して、人形劇に限らず演劇や映画やマンガや小説や童話などフィクションが人の心情や生き方に及ぼす影響力へも思いを馳せたくなりました。
 エンディングに入る寸前の、海面スレスレを魔美、高畑さん、人形たちがさっそうと飛ぶシーンにも胸が震えました。


 マンガ版の『エスパー魔美』「人形が泣いた?」では、人形劇団こけし座の座長は老人だったのですが、劇場版では老人から青年に替えられています。その老人が、劇場版では不動産屋の主人としてゲスト出演しているのも私にはツボでした。
 地上げ屋が登場するのは、バブル経済期だった当時の反映ですね(^^)


「たんぽぽのコーヒー」を観ている最中は、中学生のころタンポポの根っこを掘り出し天日干しにしてタンポポコーヒーをつくった思い出にもひたれました(^^)


 このイベントを主催したお二人によるアフタートークや、イベント後の懇親会もとても楽しかった!すばらしいイベントをありがとうございました。第3回にも期待しております。


 
 ・主催者作成のパンフレット。力作です!


 
 ・上映終了後の抽選会で当たった映画チラシ。


 
 ・イベント後の懇親会。原恵一ファンの皆さんと語り合えてとても刺戟的で楽しかった♪


 
 ・原監督の直筆メッセージ。よく読んで、よく胸に刻んでおきたいです。


 最後に、原監督のご健康をお祈りいたします。