辻真先先生と藤子アニメ

 16日(日)森下文化センターの講座でお会いした辻真先先生は、テレビアニメの黎明期から長年にわたり膨大な数のアニメ脚本を手掛けられており、その数は1500本以上と言われます。
 それだけの数を手掛けておられますから、藤子アニメとのかかわりも一度や二度じゃありません。初代『オバケのQ太郎』を皮切りに、『新オバケのQ太郎』、シンエイ版『ドラえもん』『忍者ハットリくん』など、いろいろな藤子アニメで脚本を書かれています。


 辻真先先生が脚本を担当された藤子作品でとくに印象深いといったら、個人的には、映画『21エモン 宇宙へいらっしゃい!』や『ドラえもん ヨーロッパ鉄道の旅』を思い出します。『ぼくらマンガ家 トキワ荘物語』や、Sukoshi Fushigi短編シアター『おれ、夕子』などの脚本も辻先生ですね♪
 辻先生が映画『21エモン 宇宙へいらっしゃい!』の脚本を担当されたさい、『21エモン』は藤本(F)先生が原作者なのですが、辻先生と実際に打ち合わせをされたのは安孫子(Ⓐ)先生だったそうです。「藤子不二雄」の二人三脚がうらやましかったとか。
 『ドラえもん ヨーロッパ鉄道の旅』の脚本を書くことが決まったときは、辻先生も鉄道好きで「自分もヨーロッパに行ける!」と喜んでいたら、日本に残って脚本を執筆することになって、糠喜びに終わってしまったようです。
 1980年代後半?に辻先生が藤子・F・不二雄先生とお話したとき、F先生は「劇場版ドラえもんはせめて20本まで書きたいんですよ」とおっしゃったそうです。20本と言わず、ずっとずっと書き続けていただきたかったのですが、F先生が直接描かれた大長編ドラえもんは20本に少し届かないところでストップすることになってしまいました。ただ、映画ドラえもん自体はF先生亡きあとも、こんにちまで高い人気のまま続いており、結果として20本をはるかに超える本数が制作されています。F先生ご自身が果たせなかった希望を、F先生の遺志を継いだたくさんの人々の手でかなえ、さらにその希望を超える本数を具現し続けているわけですね。