ブラキオサウルスとティラノサウルスを発見!?

 先日、岡崎市東公園を訪れました。紅葉で有名なスポットでして、どんな感じだろうと初めて足を運んでみたのです。
 
 紅葉は紅葉で楽しんだのですが、それに加え、公園内にある池のほとりでたまたまカワセミを見かけて、その美しさに見とれました。カワセミを見るのは久しぶりだったのでなおさら“空飛ぶ宝石”といわれるその姿に感動しました。
 
 
 私のコンデジカメラではここまで撮るのが精一杯ですが、カワセミの美しさはどうにか写しとることができたのではないでしょうか。


 カワセミといえば、『ドラえもん』の「バードキャップ」という話を思い出します。「小学一年生」1984年4月号で発表されたオールカラーの一編で、てんとう虫コミックススペシャル『ドラえもん カラー作品集』1巻の冒頭に収録されています。
“バードキャップ”は、かぶると鳥の習性が身につき、本物の鳥と仲良くなれるひみつ道具です。スズメ、ハト、ニワトリ、白鳥、ミミズクなどいろいろな種類のキャップがあって、スネ夫がかぶったのがカワセミだったのです。
 カワセミ化したスネ夫は、空をスイスイ飛んでいたら急に下降しだし、池に飛び込んでしまいます。それから魚をくわえ、再び池の中から飛び出てきます。カワセミは水に飛び込んで魚をつかまえる習性がある、というのがこの話のオチです。学習マンガ的な終わり方ですね。


 岡崎市東公園を訪れてよかったことは他にもあります。
 ブラキオサウルスティラノサウルスを発見したのです!(笑)
 
 ブラキオサウルスティラノサウルスが登場する藤子マンガといえば、まずは『大長編ドラえもん のび太と銀河超特急』が想起されます。
 
 宇宙最大最新最高の遊園地「ドリーマーズランド」の中の「恐竜の星」で、ジャイアンスネ夫が乗りこなそうとした恐竜がブラキオサウルスでした。そして、そうやって乗りこなそうと調教している最中に現れたのがティラノサウルスです。ブラキオサウルスティラノサウルスの気配を感じ、ジャイアンスネ夫を置き去りにして慌てて逃げ出すのでした。ただし、これらの恐竜は本物そっくりのロボットでした。


 
 ティラノサウルスは、恐竜界の大スターです。藤子・F・不二雄先生の恐竜を題材にした作品で何度も登場しています。ティラノサウルスが特に活躍するのが『大長編ドラえもん のび太の恐竜』でしょう。
 
 この作品の冒頭からして、ティラノサウルスがかかわっています。スネ夫ティラノサウルスの爪の化石を自慢するところから始まるのです。
 作中で生きたティラノサウルスが登場するのは、のび太ら5人がタイムマシンで白亜紀へ行ってからのことです。5人が夜を迎え、たき火を囲んで一億年前がどのくらい昔なのか語り合っていると、シダの茂みの向こうからティラノサウルスが姿を現すのです。ティラノサウルスは火を嫌ったのか、5人に襲いかかることはせず引き返していきました。しかし、白亜紀の恐ろしさを皆に植えつけるには十分でした。
 その後、白亜紀を冒険する途中で見つけた火口湖でキャンプをしようとしたら、ブロントサウルスの群れに遭遇します。そのブロントサウルスの群れを狙ってティラノサウルスがまた登場するのです。群れのうちの一頭に噛みついたティラノサウルスは、そのブロントサウルスを倒します。その直後、ティラノサウルスブロントサウルスの赤ちゃんとそれを助けようとしたしずちゃんに気づき、襲いかかろうとします。ドラえもんが焦りながらも“桃太郎印のきびだんご”を食べさせると、ティラノサウルスはパタパタとしっぽを振りだし、皆になつきました。ティラノサウルスの背中に乗って遊べるほどでした。
 そして物語の終盤、大富豪ドルマンスタンをボスとする恐竜ハンター一味の秘密基地が舞台となります。ジャイアンスネ夫しずちゃんの3人は、恐竜たちを戦わせて見物する競技場の中で、体を縛られ吊るされています。のび太ドラえもんがそこへたどり着くと、ドルマンスタンは競技場にティラノサウルスを放ち、残酷ショーを楽しもうとします。縄で吊るされて身動きがとれないしずちゃんが食われそうになったその瞬間、ティラノサウルスはパタパタとしっぽを振り始めます。前に桃太郎印のきびだんごを食べさせたあのティラノサウルスだったのです。ここで形勢逆転。のび太ドラえもんティラノサウルスの頭に乗って恐竜ハンター一味をやっつけるのでした。
 
 私も、ティラノサウルスに捕食される寸前の位置に立って絶体絶命感にひたってみました(笑)


 ほかに、ティラノサウルスが出てくる藤子F作品で個人的に印象深いのは、『白亜荘二泊三日』、『キテレツ大百科』の「公園の恐竜」、『大長編ドラえもん のび太と竜の騎士』、『ドラえもん』の「恐竜ハンター」「地球製造法」「宇宙ターザン」などです。これらにはティラノサウルスという名前が出てこない作品もありますが、おそらくティラノサウルスだろうと思われるものを選びました。
T・Pぼん』の「バカンスは恐竜に乗って」も思い出します。一億九千万年前(三畳紀ジュラ紀の中間)の南アフリカに来た凡がティラノサウルスを見に行きたいと希望したものの、リームが「白亜紀ね。あと六千万年」とあっさり却下するシーンが好きなのです(笑)


 
 ブラキオサウルスはとにかく巨大ですね!
 藤子F先生はてんとう虫ブックス『藤子・F・不二雄 恐竜ゼミナール』(1990年、小学館)でブロントサウルスなど巨大恐竜についてこう書かれています。

「恐竜は巨大な生物であった」と、なん度もかきました。地球上に生命が誕生して以来、最大の動物というのが恐竜なのです。その中でもいちばん大きいといわれていたのが、1984年(昭和59年)に「アメリカの恐竜展」で日本にも公開されたブラキオサウルスでした。体長22.5メートル、立った時の高さが12メートルもありました。12メートルといえばビルの3階の高さにあたります。
 これで大きさナンバー・ワンが決定かというと、その後さらに大きな恐竜が発見されたというから驚きます。ブラキオサウルスより大きいということから「スーパーサウルス」と名づけられたディプロドクス科の恐竜です。体長が24メートル、高さが15メートルの大きさでした。
 しかし、スーパーサウルスの天下も長くは続きません。推定体長30メートル、高さ18メートルの「ウルトラサウルス」が発見され、その記録がぬりかえられたのです。18メートルといえば、6階建のビルの大きさになります。かりにウルトラサウルスがおとなしい恐竜で、頭のてっぺんに乗せてくれるといわれても、高所恐怖症のぼくは、えんりょしたい気持ちです。
  (略)
 ところが、これらの巨大恐竜をはるかにしのぐ恐竜が次つぎと発見されたと、恐竜の最新情報が伝えています。1987年(昭和62年)には、推定体長30〜37メートル、高さが20メートル、体重は85トンにはなるだろうという恐竜の化石が発見されています。スーパーもウルトラもすでに使ってしまっているところから、地震竜・サイズモサウルスと名づけられています。その翌年に発見された巨大な骨盤から推測される恐竜の体長は40メートル以上で、ディプロドクス科の恐竜ではないかといわれています。

 恐竜の研究は日進月歩ですし、はるか太古のことなので諸説あるわけですが、ブラキオサウルスが最も大きい恐竜と言われていた時代から次々と最大の恐竜(=史上最大の陸上動物)の記録が塗り替えられていることがうかがえます。現時点で最大の恐竜は、アルゼンチノサウルスと言われていますね。発見された骨の部位から推測される全長はおよそ35〜45メートル、体重はおよそ90〜110トンだとか。恐竜研究の世界ですから、これにも異説がありましょうが。


 
 巨大なブラキオサウルスの脚にしがみついてみたら、『大長編ドラえもん のび太の恐竜』の劇中でブロントサウルスの脚をさわって興奮するスネ夫ジャイアンの気持ちに少しだけなれました♪


 岡崎市東公園では、これら実物大のリアルな恐竜像が無料で自由に見られるのです。『のび太の恐竜』や『ジュラシック・パーク』など恐竜映画で得た感動のかけらを味わえました。


 ※ブロントサウルスは、先に名づけられていたアパトサウルスと同じ恐竜であると結論され、アパトサウルスに名称が統一されました。それを受けて、『のび太の恐竜』の単行本でも該当箇所がアパトサウルスに改められました。ところが、昨年でしたか、「やはりブロントサウルスとアパトサウルスは別属の恐竜であった」という研究結果が発表され、今後ブロントサウルスが再び独立した恐竜になるのか気になるところです。いずれ『のび太の恐竜』のアパトサウルス表記が再びブロントサウルスに戻される日が来るのかもしれません。子どものころ触れた名前がブロントサウルスなので、私は個人的にはブロント派です(^^) むろん学問的な正しさが重要ですが、ブロントサウルスの復活に期待したいです。