四月バカののび太

 本日はエイプリルフール。藤子ファンとしては『ドラえもん』の四月バカネタに思いを馳せたくなる日です。
 そのたぐいの話で最も有名なのは「帰ってきたドラえもん」でしょう。ほかに「うそつ機」や「ハリ千本ノマス」などが代表的なところかと思います。

 四月バカネタの話を読むと、のび太の底抜けにお人よしな性格がとても印象に残ります。
 「帰ってきたドラえもん」でのび太はジャンアンに残酷な嘘をつかれてひどく悔しい思いをします。やり返そうとのび太が咄嗟についた渾身の嘘が「うしろにおばけがいるぞっ」でした。
 「うそつ機」では、4月1日だからと自分から嘘をついたのび太ですが、ジャイアンに「なにをかんちがいしてんだ」と言われ、日付を間違えたと素直に思い込んでしまいます。しかも、「ということは、なぐられてももんくいえないな!」と言われて、ジャイアンに殴られるのを受け入れてしまうのです…。
 そんなふうに、本日はのび太のお人よしな側面がにじみ出る日なのでした。
 ただ、一方的に騙される自分に納得してしまうほどお人よしではありません。ひみつ道具の力を借りて、騙された悔しさを晴らそうとするのもまたのび太なのでした。


 「ハリ千本ノマス」では、あまりに毎年騙されるので、この年の4月1日には異常に疑り深くなっているのび太が描かれます。本来は騙されやすい底抜けのお人よしだからこそ、そして、騙されたらひどく悔しいと感じるからこそ、のび太は過度に警戒して病的なまでに疑り深くなっているのです。
 のび太がお人よしであるのと同時に騙されることを悔しいと感じる性格だから、そのような心理状態になるわけですね。