月のウサギ

 今晩は中秋の名月です。
 
 この晩に食べるものといえば通常は月見団子ですが、私は「あきづき(秋月)」という梨を食べました。秋の果物で特に梨が好きなのと、「中秋の名月」「秋月」って語感が合ってるよなぁ…と感じたからです。まあ、こじつけですが(笑)
 


 中秋の名月と聞くと、月で餅つきをするウサギのイメージが脳裏に浮かびます。『ドラえもん』の「空想レンズ」(F全集9巻)は“月にウサギがいるかどうか”というお話です。空想レンズは、昔の人が空想したものが見えるひみつ道具でして、たとえば、かみなり雲を見ればそこにかみなり様がいて、虹を見れば橋のように渡れる虹になっています。空想レンズを通して見た月にはちゃんとウサギがいて、ペッタンペッタンペッタンコと餅つきをしているのです。
 そして、『のび太の魔界大冒険』で描かれた魔法世界では、ほんとうに月にウサギが棲んでいますね。通りかかる人に手を振ってくれるかわいらしいウサギが♪

 
 
 「月にウサギがいる」という言い伝えのルーツは、インドの仏教説話集「ジャータカ」の中の“ウサギの話”にあります。死にそうなほど飢えた老人を助けたいのに食べ物を見つけられなかったウサギが自分の身を焼いて老人に食べてもらおうとする…という話です。手塚治虫先生の『ブッダ』の1話目や藤子・F・不二雄先生の『エスパー魔美』「マミを贈ります』にもこの説話が出てきます。
 「月にウサギがいる」という言い伝えのルーツといえば、手塚先生の『新編 月世界紳士』では“月にウサギがいるという伝説が地球にあるのは、800年前にウサギ似の月世界人が地球に来ていたからだ”とされています。その『新編 月世界紳士』に「満月博士」「サヨコ」というキャラクターが登場します。この名前は、F先生の『のび太の魔界大冒険』に出てくる「満月博士」「美夜子」のネーミングの由来ではないか…と私は推測しております。