しのだひでお先生のお宅訪問

 12月の初旬、しのだひでお先生のお宅へ遊びに行きました。
 しのだ先生は、手塚治虫先生の最初期(昭和33年〜4年ごろ)の専属アシスタントで、藤子スタジオの頼もしい助っ人でもあった漫画家です。一時期は藤子スタジオにしのだ先生のデスクが設置され、その風貌からか仕事への厳しさからか“藤子スタジオの鬼軍曹”との異名をとっていました。
 さらに藤子先生関連で言えば、藤子作品の代筆マンガや、藤子キャラのカット・イラストなども多く手掛けられ、F先生の『ベラボー』やⒶ先生の『ぼくんちのタコくん』といった藤子マンガでは協力者として名前がクレジットされています。
 アニメ化もされた『ドラQパーマン』では、F先生のネームを元にしのだ先生が作画を担当しています。以前しのだ先生に『ドラQパーマン』の制作工程をうかがったことがあります。まずF先生が原稿用紙に鉛筆でネーム(コマ割り、人物の配置、だいたいの構図)を描き、それがしのだ先生に渡されます。しのだ先生は、F先生の描いたネームに基づいて鉛筆で下描きし、それからペン入れをおこなったということです。キャラクターのペン入れに関しては、F先生のラフなキャラ配置・構図をもとに、しのだ先生が鉛筆できっちり下描きして、その下描きをペンでなぞるかたちで執筆したそうです。しのだ先生の師である手塚先生の下描きは、おおまかなラフ画であることが多いのですが、しのだ先生はきっちり下描きをしないとダメなタイプだとおっしゃっていました。
 

 
 しのだ先生のお宅に到着後、お仕事部屋へ通され、しのだ先生が数多くのマンガやイラストを執筆された机、資料本・コミックスなどが並んだ書棚、そして先生の生原画などを拝見しました。

 
 
 書棚に並ぶコミックスは、やはり藤子先生の作品が多かったです(次に手塚先生の作品)。写真は、しのだ先生の書棚のほんの一部分です。藤子作品の並ぶ書棚に私の著書も並べていただいて感謝感激です♪


 
 柱には藤子Ⓐキャラグッズが!


 しのだ先生の生原稿を拝見しているあいだは、その美しさにうっとりさせられっぱなしでした。
 
 
 
 
 賑やかな群衆のカラーイラストは、中日新聞のクイズコーナー?で連載されたものらしいです。こういう群衆イラストって、全体を見渡しても細部を見つめても、時がたつのを忘れるほど楽しいです。色彩がとても朗らかできれい!

 
 
 
 
 
 各都道府県の名物・名所を描いたイラスト原稿も見せてくださいました。執筆途中で企画が消えてしまったのだとか。すでに20近くの県が描かれているのにお蔵入りとはもったいない限りです。


 しのだひでお先生のお仕事といえば、「コロコロコミック」で長年続いた「藤子不二雄のまんが入門」の塾頭が私には最も思い出深いです。私も10代のころ投稿者でした。ある号で私の投稿作品が入選してコロコロ誌面に掲載され、記念のメダルが届いたときは無上の喜びを感じたものです。
 
 
 こんなふうにメダルの裏面に自分の氏名が刻まれており、ほんとうに掛け替えのない記念品です。
 

 
 「藤子不二雄のまんが入門」で“もう少しで入選”になると、欄外のハシラのところに名前だけ載り、こういう特製ドラえもんバッジが送られてきました。これも私には記念の宝物です。


 最後に…、しのだ先生のところのワンちゃんがとっても人懐っこくてかわいかったです。
 
 しのだ先生、このたびはたいへんお世話になりました。貴重な機会をありがとうございます。