てんとう虫コミックス新装版『21エモン』刊行開始

 きのう(7月27日)、藤子・F・不二雄先生関連のコミックスが3冊発売されました。
 
 ・てんとう虫コミックス新装版『新オバケのQ太郎』4巻
 ・てんとう虫コミックス新装版『21エモン』1巻
 ・てんとう虫コミックスアニメ版『映画ドラえもん のび太の宝島

 
 
 『新オバケのQ太郎』はこの第4巻で完結です。公園でシャボン玉遊びをするQちゃんとOちゃんの表紙が、ほんわかしていてノスタルジックでいいですね。この巻に収録された「オバQはみんなの敵だ」は、藤子・F・不二雄大全集版では原稿紛失のため全ページが印刷物からの複写でしたが、その後全15ページのうち14ページ分の原稿が見つかったようで、今回は、その14ページについては原稿から収録されています。旧てんとう虫コミックス版や藤子不二雄ランド版ではトレス原稿で収録されていました。


 
 そして、『新オバQ』とバトンタッチするようなかたちで、今月から『21エモン』の刊行が始まりました。『21エモン』は連載開始から50周年を迎えます。そんな大きな節目の年をお祝いする意味での刊行でもあるようです。
 『21エモン』は21世紀を舞台とした作品です。21世紀のどの年が舞台かというと、私の知る限りでは「2018年」か「2023年」とされています。2018年説と2023年説の二つあるのです(アニメ版は2051年)。
 2018年説の根拠は、連載第3話の「おせっかいロボット」のワンシーンにあります。21エモンがホテルで働くロボットを買おうと中古ロボット屋へ行くのですが、その店に陳列されたロボットを見まわした21エモンは「中古だけあって、古くさいのが多いな」と言います。それを聞いた店員は「いえいえ、とんでもない。去年の型もありますよ。2017年型だよ。どう?」と切り返します。去年の型が2017年型ですから、現在は2018年、つまり『21エモン』の物語の舞台は2018年、ということになるのです。また、「宇宙オリンピック」という話では「2018年、東京において第1回宇宙オリンピックが開かれた!」というナレーションが入り、21エモンたちがテレビでその宇宙オリンピックを観戦しています。この場面も2018年と明記されているわけです。そうした場面から、『21エモン』は2018年を舞台にした物語である、と推定できるのです。
 ここまで見れば、『21エモン』の舞台は2018年で決定!といってもよいと思いますが、もうひとつの2023年説の根拠も見ておきたいと思います。『21エモン』連載時に藤子・F・不二雄先生が「21エモン劇場」というグラフ記事を手がけていて、その記事の中にある年表を見ると、『21エモン』で描かれた時代が「2023年」とされているのです。
 というわけで、2つの説があるわけですが、ここはやはり作品本編で記される「2018年」に重きを置きましょう。
 2018年と来れば、言うまでもなくそれは今年です。50年前に2018年を舞台にした『21エモン』が連載され、それから50年経って現実の世界が2018年になり、その年に『21エモン』のコミックスが新装版で刊行される…。なんと感慨深いことでしょう!50年を隔てた過去と未来がいま交差して手を触れ合ったような気持ちです。これを機に一人でも多くの人に『21エモン』が読まれてほしいなと願います。2018年に読む意義のある作品です。


 
 てんとう虫コミックスアニメ版『映画ドラえもん のび太の宝島』は、映画のストーリーをマンガのごとくコマ割りで構成した恒例のシリーズです。劇場アニメーションで観た『のび太の宝島』をコミック形式で再鑑賞できます。