火星大接近のニュースに触れて

 現在火星が地球に大接近している、というニュースが報じられました。きのう(7月31日)が今回の大接近のピークだったようです。
 https://www.nao.ac.jp/astro/feature/mars2018/

 
 そのニュースに触発されて、藤子・F・不二雄先生の『3万3千平米』と藤子不二雄A先生の『火星ダイヤ』を読み返しました。
 
 『3万3千平米』は、昭和50年に「ビッグコミック」8月10日号で発表されました。流行りに乗っかってほんのジョークのつもりで買っておいた火星の土地の権利証がもしも現実に有効化したら…という壮大かつ魅惑的な“瓢箪から駒”エピソードです。
 この作品に、開発局用地課の課員を名乗る謎の男が登場します。この男があの手この手で土地買収交渉を仕掛けてくるさまがなんとも面白いです。本作の結末を知らない状態で読んでいると、この男が土地を買収したいのは理解できるのですが、なんでこんな場違いなコスプレをして、なんで交渉相手に通じないことを言い続けてるんだろう?と不可解な気持ちにさせられます。その謎めいた場違い感がたまらないのです。
 この男、どうやら地球人ではないらしく、自分の使命である土地買収を成功させるため地球人の土地交渉流儀を勉強して自分なりに工夫していたんだなぁと、物語を結末まで読むと理解できます。そうすると、彼に対する見方が変わるのです。


 『火星ダイヤ』は昭和32年に「幼年クラブ」11月号別冊ふろくで発表された、藤子A先生の初期作品。地球から火星にやってきた探検隊が火星人と遭遇するSF冒険モノです。そこで描かれる火星人の姿が奇抜で印象に残ります。SFの父H.G.ウェルズの『宇宙戦争』によって広まった“火星人はタコのような姿をしている”というイメージをベースにしながら、そこに藤子A先生の奇想がふんだんにぶちこまれていて、なんとも独特のデザインになってるなぁと思います。基本的に直立歩行タイプの火星人なのですが、地面を這うとグンと敏捷になってギョッとさせられます(笑)その火星人が火星人そっくりのロボットから出てくる場面もビジュアル的なインパクトがありました。


 
 先日(7月27日)発売されたばかりのてんとう虫コミックス新装版『21エモン』1巻にも、「火星へ遠足」という、文字どおり21エモンたちが火星へ遠足に行くお話が収録されています♪ 火星に対して観光気分でセンス・オブ・ワンダーを感じられる素晴らしい一編です。