日曜日という名の喫茶店

 今月12日(日)のことですが、岐阜県中津川へ行ったさい「日曜日」という喫茶店を見つけました。
 
 
 店に入ったらいつも日曜日…だなんて、藤子不二雄Ⓐ先生のブラックユーモアの世界へ誘い込まれそうな入口です。
 いつも日曜日…と来たら、これはもう『明日は日曜日そしてまた明後日も……』を思い出さずにはいられません。
 そして、『笑ゥせぇるすまん』(「中央公論」連載版)の一編「日曜クラブ」にも触れずにはおれません。この話に出てくる「日曜クラブ」という店なんて、まさに“そこにいる限りいつも日曜日”なのですから。
 喪黒福造は、月曜の朝に出社するのがつらくて仕方がないという“退行性月曜拒否症候群”のサラリーマンに声をかけ、ある店へ連れていきます。店の看板を見ると「日曜クラブ」とあります。その店の前で喪黒は、ここはちゃんとしたメンバーズクラブであり、中へ入るとブルーな気持ちが解けてリラックスできるはず、とサラリーマンを説得します。店内に入ると、美人の女性が「お帰りなさいませ…」と出迎えてくれて、家庭のリビングルームのような部屋へ通されます。サラリーマンはパジャマに着替え、「こうやっていると今日が月曜日ということを忘れますねえ」とくつろいだ様子。そんなサラリーマンに喪黒は言います。
「この部屋にいる限りいつも日曜日と思って下さい とにかく会社や家のことはいっさい忘れるのです ここには時計もカレンダーもありません ここでは時間が日曜日のまま止まっています」と…。
 このセリフと今回入った喫茶店の入口を見たときの印象とがもろに重なるのです。
(記憶の底に埋もれていた「日曜クラブ」を思い出させてくださった藤子ファンのNさん、ありがとうございました!)


 ちなみに、この「日曜日」という喫茶店はもちろんそんなブラックユーモア的なお店ではありませんでしたが、コーヒーを注文したらスイカとタコ焼きが付いてきて、ちょっとだけフシギな感じでした(笑)
 
 普段からこうしたオマケが付くわけじゃなく、この日お店にスイカとタコ焼きの差し入れがあったのでお裾分けしてくださったのでした。