藤子不二雄Ⓐ先生のお誕生日に

 きのう(3月10日)は、藤子不二雄Ⓐ先生のお誕生日でした。

 そんな記念すべき日、「少年画報」1969年8月号を愛でて過ごしました。

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 なぜこの日にこの本を愛でたのかというと、たまたま部屋の隅に積んであって、たまたま不意に目にとまったからでして、これといって深い意味はありません。

 

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 この号から連載の始まった藤子Ⓐ先生の『仮面太郎』が表紙と背表紙を飾っています。作品本編は巻頭カラーの扱いで、なかでも扉ページは折込みになっていて、藤子先生とアシスタントさんがたがお面をつけて大集合という、華々しい『仮面太郎』推しの号なのです。

 仮面太郎の色紙を読者10名に贈呈!なんていうウラヤマシイ企画もあります。読者欄の似顔絵コーナーにもすでに仮面太郎のイラストが寄せられています。前号に掲載されたのであろう予告イラストを見て描かれたのでしょうね。

 

 『仮面太郎』は、“仮面”というアイテムの不思議な魅力と人間の“顔”をめぐる悲喜劇、表の顔に隠された人間の本性を描いた、奇妙な奇妙な奇妙なギャグマンガです。藤子Ⓐ先生の仮面趣味が全開となった作品でもあります。

 主人公の仮面太郎は、常に仮面で顔を隠している謎めいた少年。普段かぶっているピエロのお面はいつも笑顔なのにいつも涙をこぼしていて、その姿から、彼の内にある道化の精神と彼がまとう悲哀がにじみます。

 この『仮面太郎』の連載当時、私は1歳でしたから、リアルタイムで読めていません。私が初めて『仮面太郎』を読んだのは、1981年に刊行された大都社のスターコミックスでした。中学生のときです。 

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 このコミックスはいま見ても無性に愛着がわいてきます。当時の思い出と相まって、カバーデザインにも紙質にも版型にも強く愛着を感じてしまうのです。(この表紙カバーで使われた絵は、コミックスのための描き下ろしではなく、「少年画報」1969年9月号に掲載された『仮面太郎』の扉絵を使用しています)