第23回「手塚治虫文化賞」贈呈式・記念イベントに出席

 第23回「手塚治虫文化賞」贈呈式・記念イベントに参加させていただきました。

 開催日は6月6日(木)、会場は朝日新聞東京本社の浜離宮朝日ホールでした。

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 参加するにあたり、事前にできるだけ受賞作を読んでおいたのですが(結局全巻は読めなかったのですが)、自分がマンガ好きであることが誇らしくなるほどすばらしい作品ばかりでした。こうした作品たちがきちんと評価され、この賞を機により多くの読者を得られると思うと心が高揚します。

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 席は指定制で、入場時に座席指定券を手渡されるのですが、今年は1階の前から4列目ということで、とても良席でした。 

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 入場時に手渡されるのは座席指定券だけではなく、パンフレットやスケジュール表などもあります。なかでも、火の鳥ピンバッジは最高に嬉しいです。

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 贈呈式は、朝日新聞社社長の主催者挨拶、手塚眞さんの来賓祝辞、南信長さんの選考経過報告と進行し、受賞された先生がたに賞が贈呈されました。それぞれの先生がたから感動的かつユーモアあふれるスピーチを聴けました。手塚治虫先生の名を冠した賞を授かるなんて、漫画家としてさぞかし光栄で名誉なことと思います。 

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 イベントの合間の休憩時、さいとう・たかを先生の特別賞受賞をお祝いするため藤子不二雄Ⓐ先生が会場に駆けつけられました。私と友人がさいとう先生に「おめでとうございます!」と声をおかけしたタイミングで藤子Ⓐ先生がいきなり登場されたので、巨匠お2人の感動的なコンタクトシーンを目の前で拝見できる!という僥倖に恵まれました。ありがたい限りです。

 

 休憩後、有間しのぶ先生×桜庭一樹先生×手塚るみ子さんによる受賞記念トーク「その女、しのぶと一樹とるみ子」が催されました。桜庭先生は有間先生の大ファンだそうで、有間先生が受賞されたこと・有間先生と一緒に登壇できていることの喜びや興奮が桜庭先生の言動のはしばしから漏れ出ているご様子でした。心の底からほんとうにファンでいらっしゃるんだなあ、とビシビシと伝わってきたのです。

f:id:koikesan:20190707162601j:plain 有間先生のマンガ大賞受賞作『その女、ジルバ』は、まだラストまでは読めていないのですが、主人公は冴えない(と自分で思っている)40歳の女性でして、彼女が自分の現状を変えたくて高齢者バーで働きだすところから話が動き出します。そのバーに勤める高齢ホステスたちの過去エピソードに心を揺さぶられますし、ブラジル移民、3・11福島、太平洋戦争などのハードな題材を見事に編み込んでいく圧巻の物語だと感じます。大賞受賞作にふさわしいと納得しました。 

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 短編賞を受賞した小山健先生の『生理ちゃん』は、女性の生理を擬人化…というかキャラクター化したマンガです。基本的にギャグ作品でして、ユーモアやアイデアが効いていますし、そのうえジーンとする話や学びとなりそうな話もあって、表立って扱いづらそうな題材をよくここまで面白くセンスよく描いたものだ!と心を動かされました。 

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 小山先生の受賞をお祝いして、なんと生理ちゃんが会場に駆けつけてくれました!

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 『生理ちゃん』は二階堂ふみさんの主演で実写映画化されるそうです♪

 

 小山健先生はスピーチも面白かったです。作文を朗読するような体裁でスピーチされたのがまず愉快でしたし、藤子不二雄Ⓐ先生の『まんが道』を読んで漫画家ってなんと過酷な職業だろうと思い漫画家になるを早々にあきらめてイラストレーターを目指したのに、いつのまにか今マンガを描いている(笑)といった話に心をつかまれました。『まんが道』を読んで漫画家になりたいと夢や憧れを抱いたのではなく、漫画家になることを早期にあきらめたなんて、そんな漫画家さんを見たのは初めてです(笑)「満賀道雄と同じようには手塚治虫先生に憧れられなかった」というのが小山先生の弁です。なのに結局いまマンガを描いていて、手塚治虫文化賞という大きな賞を授かっているのですから、そのめぐりあわせがまた面白いところです。

 

 会場限定のオリジナルグッズの販売もありました。

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 ポストカード5枚セット、アトム飴、ゴルゴアトムのアクリルキーホルダー(缶バッジが漏れなくついてくる!)を購入しました。

 グッズ購入者の列で私の後ろにたまたま並んでいた女性から、

「漫画家さんですか?」と急に尋ねられました。

 突然のことに戸惑った私が「あ、え、違います…」と挙動不審ぎみに答えると、

「じゃあ俳優さんですか?どこかでお顔を見たことがある気がするんですが…」と尋ねなおされました。

 私は「違います、違います」と再び否定することに(笑)

 俳優さんと間違われるなんてなかなか体験できないことですから、声をかけてくださった女性に感謝したいです♪

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 購入したグッズを入れてくれたショッパーがドラえもん柄!

  

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 会場にいらっしゃった山根青鬼先生とツーショット!

 

 私が座った席のお隣に漫画評論家石子順さんが座っておられ、今までお目にかかったことがなかったのでこれは好機だとご挨拶させていただきました。石子さんの文章は10代のころから読んできているのでお会いできて感激でした。最後にがっちり握手してくださったのも嬉しいです。

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 これは1984年6月30日付「中日新聞」の切抜きです。当時石子順さんが「マンガ月評」を月イチ連載されていたのです。この回では「藤子不二雄ランド」刊行を話題にされています。そして、藤子不二雄ランドの刊行1冊目である『海の王子』1巻の書影が使用されています。

 

 手塚治虫文化賞贈呈式・記念イベントの終了後は友人知人と六本木へ移動し、永井豪FCの磯貝さんの案内で「薫風」というお店で飲みました。

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 お店の入口の壁にデビルマンが大きく描かれていてド迫力でした。何年か前にここで永井豪先生のお誕生日会が催され、そのとき豪先生がじかに描かれたものだと磯貝さんに説明していただきました。

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  このお店、生ビールを注文するたびにグラスの形が変わって楽しかったです。

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 料理もおいしかった!

 

 そうやって飲み食いながら、しのだひでお先生から藤子先生のお話をうかがうこともできて、貴重でステキなひとときでした。

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 藤子・F・不二雄先生はめったにお酒を飲みに行かなかい人だったのですが、一度だけF先生、Ⓐ先生、しのだ先生の3人でバーへ入ったことがあるのだそうです。しのだ先生がF先生と飲んだのはそれが唯一の機会でした。F先生は水割りか何かをちびりと飲んだだけですぐ寝落ちしてしまわれたとのこと。

  ここでは詳しく書けませんが、『ドラえもん』のしずちゃんのモデルは誰か?という説に関してしのだ先生と意見を交わせたのも有意義でした。