「芸術新潮」がトキワ荘特集

  10月24日に発売された「芸術新潮」11月号の特集は「トキワ荘と日本マンガの夜明け」です。

f:id:koikesan:20201024183935j:plain

 トキワ荘を紹介する記事いろいろ、関係者インタビュー多数、資料的なページも多々あって、質量ともに充実のトキワ荘特集です!

 

 トキワ荘時代の先生方が描いた作品たちが39ページ分再録されているのもスゴい!

 ・寺田ヒロオ『漫画つうしんぼ』『おんぼろ地蔵物語』

 ・新漫画党合作『神様からもうひとつ目をもらったら』

 ・石ノ森章太郎『墨汁一滴』

 ・赤塚不二夫『ナマちゃんのにちよう日』

  といった再録ラインナップです。

 

 高井研一郎先生秘蔵の写真とはがきが載っているページにだいぶ見入ってしまいました。手塚先生が九州まで逃避行したときの写真(『ぼくのそんごくう』代筆事件のときのもの)とか、トキワ荘時代の藤子先生、赤塚先生、石ノ森先生から届いた年賀はがきとか、じつに貴重なものを見られた!と感動しました。

 

 当ブログらしく藤子不二雄ファン目線でこの特集を見た場合でも、藤子先生のお名前が随所に出てきてうれしいです。

 トキワ荘に住んだ漫画家さん一人一人を紹介するページでは、当然F先生もⒶ先生も紹介されています。

 吉本浩二先生が絵を描いた10ページにわたる絵物語トキワ荘の青春」でも、藤子先生のエピソードがいくつも出てきます。

 「トキワ荘こぼれ話」のコーナーを読むと、『まんが道』に登場する「松葉」について書かれていたり、「なぜ「不二雄」「不二夫」?」というトピックもあったりして楽しいです。

 中条省平さんが書いた「黎明期のマンガ進化論」という文章では、手塚先生の『新宝島』を初めて見たときのⒶ先生の言葉が引用され、『ロストワールド』の新しさを指摘したⒶ先生の言葉も紹介されています。『まんが道』のもっとも感動的なエピソードのひとつとして、満賀道雄が手塚先生の『ジャングル大帝』のラストシーンを手伝う場面にも言及。さらに、藤子先生が「週刊少年サンデー」の創刊とともに『海の王子』の連載をしたこと、Ⓐ先生が『シルバークロス』を描いたことにも触れられています。

 「トキワ荘ワールドをもっと楽しむための展覧会&施設案内」では、川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム氷見市潮風ギャラリー藤子不二雄Ⓐアートコレクションの情報を掲載!

  そして、再録作品の新漫画党合作『神様からもうひとつ目をもらったら』の執筆者の一人がF先生です。

 

 というふうに、藤子的にも読みどころが随所に見つかる特集です。

 そもそも、トキワ荘の特集ですから、ほとんどの話題は(藤子先生の名は出てこなくとも)藤子先生と関連のある事象ですから、全体的に読み応えがあるのです。