10月23日に発売された「TV Bros.」12月号コミックアワード特集号を購入しました。
片桐仁さんがトキワ荘マンガミュージアムを訪れてレポートするカラー記事(6ページ分)が載っています。その片桐さんが描いた「笑ゥドラジャックボン009」というトキワ荘オリジナルキャラクターも見逃せません(笑)
この号で発表されたブロスコミックアワード2020大賞作品は『マイ・ブロークン・マリコ』でした。おめでとうございます!
私もこの作品を今年の初めごろに読んで、胸に押し寄せる凄まじい感情の波立ちを感じました。
「自分にはこの人しかいない」と思っていた無二の友を自殺によって失った主人公が、その友の遺骨を親から奪って旅に出る……。奔流のように吐き出される感情と美しくもダイナミックな身体性とが一体となって描かれる人物表現が圧巻です。
その亡くなった友というのは、子どものころから家庭で虐待を受け続け、自然な自己肯定感をもてず、心のバランスを欠いていた女性で、主人公のセリフを借りれば「めんどくせー女」です。そんな友を掛け替えのない存在と思い続けてきた主人公が抱く友への痛切で深い思いが、喫煙・飲酒シーンや涙・鼻水・涎・汗などの描写をともなって怒涛のように剥き出されていきます。
鼻水とか涎の描写だなんて何だか汚らしそうですが、そういう描写もひっくるめて美しさを感じます。