『コロリころげた木の根っ子』配信

 現在、「ドラえもんチャンネル」が4週連続企画「みんなで選ぶ!藤子・F・不二雄“SF”の秋」を開催中です。

 第2週は『コロリころげた木の根っ子』『間引き』『影男』『いけにえ』の4作が候補にあがり、Twitter投票の結果、『コロリころげた木の根っ子』が特別公開作品に選ばれました。前週は『ノスタル爺』が強かったなあという感じでしたが、今回は4作品の接戦でした。

 https://dora-world.com/contents/2149

 『ドラえもん』の「デビルカード」(てんとう虫コミックス22巻)と『ウメ星デンカ』の「デンカがきた夜」(てんとう虫コミックス1巻)も同時配信。

 11/12(金)昼12時ごろから配信がスタートし、11/15(月)午前11時に終了します。

 

 『コロリころげた木の根っ子』といえば、先月見た風景を思い出します。本作のトビラに描かれた木の根っ子とけっこう似ている木の根っ子を見かけたのです。

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・これです!

 

f:id:koikesan:20211113194202j:plain・こちらは『コロリころげた木の根っ子』のトビラです。(藤子・F・不二雄大全集電子版『SF・異色短編』第1巻より)

 

 まったくそっくりとは言いませんが、切り株の下に根っ子が広がる様子が丸見えで、似た形状をしています。

 この風景を眺めていると、

「そこへ兎が飛んで出て~ ころりころげた 木のねっこ♪」

 と「待ちぼうけ」の唄が聴こえてきそうです。

 

 『コロリころげた木の根っ子』には、個人的に非常に思い出深い体験があります。

 当ブログですでに何度も述べていることではありますが、2013年2月27日(水)に放送されたテレビ朝日の深夜番組『マツコ&有吉の怒り新党』の「新・3大○○」コーナーのテーマが「藤子・F・不二雄らしからぬ 新・3大異色な物語」でして、同コーナーで『コロリころげた木の根っ子』が『自分会議』『間引き』とともに紹介されました。私はこの回の作品セレクトやコメントを担当させていただいたのです。

 そのさい、『コロリころげた木の根っ子』には次のようなコメントをつけました。

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・『マツコ&有吉の怒り新党』(2013年2月27日放送、テレビ朝日系列)の「藤子・F・不二雄らしからぬ 新・3大異色な物語」より。

 

 自分がセレクトしたF先生のSF短編作品が地上波のテレビ番組で大きく紹介され、自分のコメントまで放送してもらえるなんて、あまりにも稀少で貴重でありがたく嬉しい機会です。とてつもなく忘れがたい体験です。

 それゆえ、『コロリころげた木の根っ子』には個人的に格別な思いがあるのです。

 

 この番組では、『コロリころげた木の根っ子』(と他の2作品)のコマを画面に映しながらナレーションとアテレコでストーリーを進めていき、オチまできちんと見せました。

 『コロリころげた木の根っ子』を見終えた有吉さんは「(ドラえもんパーマンなどと比べて)どっちが本当の藤本さんなんだろうね」と反応。それを受けてマツコさんは「どっちかだけっていうわけじゃないでしょうけど、やっぱり、なんかこう、バランスをとってらっしゃったんじゃないですか」と応じました。マツコさんのこの見方、鋭いなと思います。

 

 『コロリころげた木の根っ子』といえば、オードリーの春日俊彰さんがF先生の異色短編集を好きで、なかでも特に好きな作品の一つとしてこの作品をあげていたことも思い出されます。春日さんは、予想外の展開に驚かされ、怖いだけじゃなくて“この後どうなるんだろう?”といろいろ想像が広がる、と述べていました。

(そのとき春日さんは、もう一作、『ミノタウロスの皿』もあげていました)

 

 今回こうして期間限定の無料配信というかたちで、しかも投票で選出されて、『コロリころげた木の根っ子』が大勢の人に読まれることになって胸が熱いです。

 

 

 ※『コロリころげた木の根っ子』について次のエントリでも語っております。

 https://koikesan.hatenablog.com/entry/2021/11/14/200529